STEP25【橙色の花束を】 ページ1
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──医薬品の香りが鼻をツンと叩く。
ゆっくりと目を開ければ、ぼやけた視界に映るのは白。あぁ、俺、遂に死んだのか？
しかしどこか既視感のある光景。怠い身体を起こせば、そこが医療室である事が分かった。
「……あれ…死んで、ない？」
「あぁ、起きたんやな。どう？調子は」
カーテンを捲って、神と書かれた雑面の男が現れる。勿論名前は知っている──しんぺい神だ。
「…ねぇ…俺、死んだんじゃないの？」
「え？俺の目の前で動いとるのがA君なら、君は生きとるよ」
「……そっか…」
「…？…どないしたん？」
しんぺい神から顔を背け、そのまま下に向けると、俺は自分の手を握ったり緩めたりする。その時、窓から差し込んだ光が丁度俺の掌に当たった。
「…いや…あんなに殺す殺すとか言ってきたコネシマが結局殺さなかったのは何でだろうなって思ってさ」
「ん〜、それは流石の俺にも分からへんわ。コネシマ本人に聞いた方がええんちゃう？」
「まぁ、それもそうか」
俺は彼にヘラりと笑ってみせる。
でも、俺はあんたに心配されたくないから笑ったのに──なのにさ、どうしてそんなに悲しそうな顔をするんだよ、しんぺい神。
「…取り敢えず、A君、まだ感謝祭は終わってへんから、動けるなら外の空気、吸ってきてもええで。まぁ、ほんまはあんまり怪我人を出したないけど」
「うん…ありがとう」
「…やけに素直やね」
「……別に…ただの気紛れだよ」
淡々と進む会話を耳にしながら、俺はベッドの上から立ち上がる。そして、ぐぅっと両手を天井に上げ、大きく背伸びをした。
「ねぇ…」
「ん？どうした？」
「…嫌な、予感がするんだよね。物凄く嫌な予感…全てがぶっ壊れるみたいにさ…そんな、感じの」
上に挙げた手を下ろす。胸の奥底で、モヤモヤとする黒い霧が胸糞悪い。
「──っ！？ちょ、何すっ！！ねぇ！！」
しんぺい神は突然俺の頭をわしゃわしゃと激しく撫でる。
「A君って猫みたいやな」
「は、はぁ？」
「仲間を作らず、フラフラして、何考えとるか分からへん」
彼は撫でるその手を止めた。
「…大丈夫やで。悪い予感のその先には物凄くいい出来事が待っとるもんやから、ね？」
「……そっか…」
俺は彼から離れると、深呼吸をしてこの部屋の扉の前まで移動する。そしてニシシと笑う。
「じゃあもしその"いい出来事"ってのが来なかったら詐欺罪として慰謝料請求させてもらうよ。幾らにしよっかなあ」
「え？いや、ちょっ──」
彼の言葉を最後まで聞かず、俺は扉を閉めた。
その時、心が少し、暖かかった。
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あまやみ。(プロフ) - 星降春さん» ありがとうございます！さて第四部では作者は星降春様を感動させる事が出来るのか！笑お言葉嬉しいです！応援の元頑張ります！ (2021年3月7日 20時) (
レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
星降春(プロフ) - 第三部完おめでとうございます！もう、最高ですか！？第四部が楽しみすぎて夜も寝れません笑。確実に泣いちゃいますね、第四部。どうか，アンデット君が報われますように。 (2021年3月7日 18時) (レス) id: a283d6b201 (このIDを非表示/違反報告)
あまやみ。(プロフ) - 奈飴亜さん» え、本当ですか！？ありがとうございます！！そう言って頂けて本当に心が嬉しくて叫んでます笑期待にお答え出来るよう頑張ります！！ (2021年3月7日 17時) (レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
あまやみ。(プロフ) - 地稲さん» ありがとうございます！いやもう地稲様の貴重なお言葉を頂けるだけで本当に嬉しいです！！何より楽しんで頂けているとお聞きできて、あぁ、書いてて良かったなと思えました！ (2021年3月7日 17時) (レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
あまやみ。(プロフ) - ハクグンさん» ありがとうございます！もう自分が作中で伝えたい事を読み取って下さってくれていて感激です！！気まぐれペースが続くと思いますが、どうぞお楽しみ下さい！！ (2021年3月7日 17時) (レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまやみ。 | 作成日時：2021年2月20日 13時
