第10話 ページ11
『ま、んばちゃん』
いつもの可愛い彼からは想像出来ない程の殺気が感じられ、嫌でも鳥肌が立つ。
「はぁ…主は、嫌い?」
『薬を混ぜるの…?』
「うん。」
心なしか、歌仙たちの手が震えている気がする。
確かに、何かを入れられるのは嫌だ。
だけど、・・・・・・それが、歌仙達なりの愛なのであれば、主である私は受け止めなきゃいけない。
・・・・・・別に、暴力を振るわれているわけじゃないんだ。
だから、『大丈夫だよ』と答えようと思った時、まんばちゃんが口を開いた。
「嫌に決まっているだろう。主は人間だ。俺たち刀剣と違って、手入れをされれば傷が癒えるわけじゃない。薬のせいで、体調を崩すことだってあるかもしれない」
そのまんばちゃんのセリフを聞いて、二振りは厨から出ていってしまった。
・・・・・・その時の二振りの傷付いた顔は、昔の私と重なって見えた。
だから、思った。【追いかけなきゃ】って。
まあ、思う前に足は動いてたんだけどね。
あの二振りに、私のように傷ついて欲しくないから。
傷を癒せるのは、状況を知っている当事者の私だけだから。
『っ、待って!』
足は50メートル走10秒の遅い審神者が走ります。
袴を着た状態で走ります。
さて、どうなるでしょう。
私が追いかけ始めてはや2分。
やっと2人の背中を庭で見つけた。
『っ、歌仙ー!光忠ー!』
あと10m。
二人が気づく。
私は足元に気付かない。
「主、危なっ──」
ずてっ、という音と共に、私は石につまづいて転ぶ。
光忠が咄嗟に駆け寄ってきて、立たせてくれる。そして歌仙が私の袴についた砂埃をはたいて落としてくれる。
、、なぜだか無性に泣きたくなった。
何で、酷いことを思って言ってしまったのに、二人はこんなに優しいんだろう。
ごめん、ごめん
『光忠ぁ…歌仙…ごめんね…っ。
何混ぜてもいい、全部受け止めるから…っ』
『だから、だから』
嫌いにならないで
そう言って、号泣すると二人に抱きしめられた。
「こっちこそごめんね…かっこよくないね、僕」
「女の子を泣かせるなんて、雅じゃないね…」
歌仙はいつだって雅だし、光忠だっていつでもかっこいい。
『私は二人のこと大好きだから…嫌いにならないで、私を捨てないで……』
重くってごめん。
こんな主でごめん。
私はずっと大好きだよ。
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狐の子(プロフ) - 第30話の所「短刀」が「担当」になってますよ! (2018年12月20日 22時) (レス) id: bf2de55560 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏琉斗 哀 | 作成日時:2018年11月24日 18時