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2 side
ガラガラガラ…
2「失礼します、」
教室に入ると目に入ったのは、予想とは裏腹にガラガラの席。
何だ、まだ全然来てないじゃん。
バイトまではあと一時間半しかないから、早く終わらせたいのに〜!
f「あ、一年生だよね?
席はどこでもいいよ」
2「あ…はい、」
おずおずと近くの椅子を引いて、荷物を床に置く。
そしてゆっくりと教室内を見回して、一つ思ったこと。
あの人、きれいだな。
__名前何ていうんだろ。
これが、俺が一目惚れした瞬間だった。
ほんっとうに、ロマンの欠片もないような
へんぴな形だけど、それでも事実だから。
きっと、思い出の一つにでも残るんだろう。
このときはまだ、そんな気持ちでいた。
そして話は戻るけど、委員会にはまだ全員集まっていなくて、まだ時間がある。
俺はここ最近寝不足で、何より時間は有効活用しなきゃおさまらない性分だ、ということで、この時間を寝る時間に当てることにした。
目をすっと閉じれば、あっという間に意識が遠のいていく。
外に咲いている花の匂いが一瞬、ふわっとなって、まるで包み込まれているような感覚におちながら、意識を手放した。
今思えば、千賀という最高の友達、藤ヶ谷先輩、横尾先輩、北山先輩という最高の先輩方。
こんないい人たちに囲まれたことなん
て、今までで一度もなかった。
あるとすれば、中学校のときのヤンキー軍団くらい。
きっとこれから先、こんなに人脈の広さを感じる瞬間は、来ることはないだろう。
だからここで俺に質問。
俺は本当に学校を辞めたいの…?
そうするしかないって、自分で勝手に決めつけてるだけなんじゃないの?
まだ…抗ってもないじゃん。
最後の最後まで戦ってみよう。
お金を要求されても渡さない。
先輩に呼び出されても行かない。
そして目立つ問題を起こさない。
やっと手に入れた楽しい学校生活を簡単に手放したくない。
当たり前のことがやっとわかった。
学校を辞めたくないなら辞めなければいいじゃん。
今ならはっきりとそう言える。
それなりの覚悟を持って。
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yuzu_(プロフ) - もう更新する予定ってありませんか?? (2021年5月28日 21時) (レス) id: b026b7a2ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虹色双葉 | 作成日時:2020年7月24日 16時