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ドレイク｢...左！｣
迷宮を進み始めて、どれくらい経ったことか。一応僕とマシュで来た道を記録してはいるが、はぐれたら確実に迷子になる。記録してきた道も一瞬でパーだ。
マシュ｢手を繋ぎましょう、マスター。｣
藤丸｢て、手を！？｣
マシュ｢万が一はぐれてしまったら、この迷宮で餓死する可能性があります。｣
｢...｣
サンソン｢手を...｣
僕なんかが誘ってもいいのだろうか。この手で触れたら、それこそマスターは...
｢...ん。｣
サンソン｢マスター？何故袖を掴んでいるんですか？｣
｢はぐれたら...嫌だから。イケメンと手を繋ぐとか、慣れてないし...というか初めてだから、これぐらいしか...出来ないけど。｣
...そうだ、彼女はいつも僕を求めてくれた。なら手を繋いでも彼女は嫌がらない。
サンソン｢こうした方が手も暖まりますよ。｣
｢...！...う、うん。そうだね！その...暑いね！顔も赤くなっちゃったというか...！サンソンも大丈夫かな！？...サンソン？｣
サンソン｢っ...その、自分も何故か、顔が赤くて...何故でしょうか...？｣
｢...いえ...何でも、ないです...｣
顔だけじゃなく、全身が暑いと感じている。この場所はそこまで温度が高くないのに、手を繋いだ瞬間に熱が身体中に行き渡っていた。
本当にいいのだろうか。こんな僕でも、彼女と手を繋ぐことが許されて。
サンソン｢(いや、これはただの迷子防止...そんな気持ちは一切...！)｣
ドレイク｢血か。｣
サンソン｢へ、血？...言われてみればそうですね。貴女も職業柄、という感じですか。｣
ドレイク｢そうだねぇ。そういうアンタは？｣
サンソン｢ただの処刑人です。｣
ドレイク｢...それは辛かっただろうね。今のアンタを見てる限り、処刑人なんて自分に合うもんじゃなかっただろう。サンソン、この血の量ならまだ助かってるよ。掠り傷ってとこだ。｣
サンソン｢よかった...皆さん、この先に行ってみませんか。人命を救うのも大事な仕事です。｣
マシュ｢もちろんです。それにこの迷宮では、唯一の手掛かりですから。｣
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作者名：琲世 | 作成日時：2021年5月4日 18時
