ある女の死 ページ2
冬かしら。いえ、季節は春？
違う。秋ね。アナタは異国の地で私と出会い、私と手を繋いだの。私もアナタも、例のお母さんによって忘れちゃってたみたい。
...ううん。私はただ、それは昔のことだと割り切って忘れただけ。自分から忘れてしまった。
暖かな温もり、初めての友人の存在。
｢オフェリア、私ね｣
君と友達になれて嬉しい。
二度、そう言われた。
オフェリア｢私も。またいつか会えるといいね、A。｣
微かに覚えてはいたの。彼女という存在には前から出会えていたことを。それを思い出せなかった私は、遠い地でも彼女を孤独にしてしまった。
｢一緒にご飯...｣
オフェリア｢ごめんね。これからヴォーダイムと話があるの。｣
その大半の理由が、リーダーであるキリシュタリア様との話のためだった。
おまけに彼女は無自覚に恋をしていた。余計に傷を負わせてしまっただろうか。なのに...何故あの子は、私を憎まなかったのだろう。
｢また時間があったら、一緒にご飯食べようね。女の子同士の話もしたいから。｣
...ただの生活に憧れたアナタ...ごめんなさい、一人にしてしまって。少しでも話すべきだった、もっと他の人たちと関わるべきだった。
オフェリア｢マシュ...マシュ？｣
マシュ｢オフェリアさん、ここにいます。私たち...私たち、スルトを破壊できました。あなたが...あなたの...お陰で...｣
...ああ、凄いな。私の知らないうちに、この子は成長したんだ。もし、あの事件がなかったら。もし、奇跡的に全員で生還を果たしたのなら。そんなもしもの話を、私は一度だけしたことがある。
私たち七人は、揃ってこう言った。マシュはこの旅で得たものを、多く語ってくれただろうと。
Aは自慢の恋人をつくって、たくさん自慢してくるだろうと。あの子は昔から恋に憧れていたもの。その自慢の恋人もキリシュタリアになるだろうねって話すと、キリシュタリアは...少し、赤くなってたかな。
オフェリア｢アナタの歩みを、私...できれば、応援してあげたいのだけど...でも、駄目。ごめんなさい、マシュ。キリシュタリア様は裏切れない。裏切りたくは、ないの。｣
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作者名：琲世 | 作成日時：2021年9月24日 21時
