A.D.2004 炎上汚染都市 冬木 ページ6
...声が聞こえた。
名前はリヴァイ・アッカーマン、知らない名前。予め歴史の本は読んでいたけど、その本に彼のことは記されていなかった。
リヴァイ｢力を貸してやる。ほんの一時だけ...今回限りだ。｣
｢...力が消えたら、私も死ぬ...？｣
リヴァイ｢寿命は縮むかもしれない。だが、お前がいないと...寂しい。｣
寂しい、彼は確かにそう言った。
涙を流す彼に手を添えると、嬉しそうに私の手を掴む。ちょっと怖い顔なのに、微笑むと本当に優しそうな人だ。
リヴァイ｢生き延びろ。...そして、いつか俺に会いに来てくれ。｣
｢あなたに...？｣
リヴァイ｢ああ、ずっと...あの場所で待っている。｣
｢...生きている？これは...｣
『聞こえるかい！？こちらはカルデア管制室、ボクの名前は...！』
｢ロマン...今は一つずつ問題を片付けなきゃ。ロマン、今の私の状態をチェックして。｣
『わかった！...って、本当に爆発に巻き込まれたのかい！？バイタルに問題なし、それどころか身体能力、魔力回路...すべてが向上してるじゃないか！？マシュちゃんと同じ状態だ！』
やっぱり。あのサーヴァントはマスターを失って消滅する前に、私に契約を持ちかけた。
誰が持ち主なのかは知らないけど、おかげで私も、この特異点の何処かにいるであろうマシュちゃんも助かっている。
｢...ロマン、マシュちゃんとは後から合流する。藤丸君も生きていたら嬉しいけど...｣
『二人と生きているよ。』
｢よかった。こっちの経緯は後から説明しておく。...ねえ、リヴァイ・アッカーマンって人を知らない？｣
『ああ...知ってるよ。でも彼自身の事は詳しくないかな。サーヴァントとして召喚されたその日に歴史を漁ったけど、彼の事は一切記されていない。』
｢...ネットは？｣
『リヴァイのリの欠片もないよ。というか、例の実験の成功者が二人も出てくるなんて...もっと違う状況であってほしかったな。そもそも、あの実験もちょっと...とは思ったけど...』
...何故あの時、彼は私に微笑んだのだろう。
単に微笑んだだけじゃない。安心していたんだ。それはきっと、私が...
｢...！敵性サーヴァントを発見、これより戦闘に移行します！｣
『...偶然だけど、君はサーヴァントとしての力を手に入れている。その上一人のマスターだ。ここで死ぬことはボクが、カルデアの全職員が許さないからね。』
｢了解しました！サボり魔！｣
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作者名：琲世 | 作成日時：2021年4月27日 10時
