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独りの夢 ページ3

これは、ある哀れな少女の話。


その少女は、いつも夢を見ていた。
「雲がわたあめだったらな」
「お菓子の国に行けたらな」
「魔法が好きに使えたらな」
そんな事を考えて日々暮らしていた。


「私、魔法が使えるようになりたいの」
いつも仏壇に手を合わせては、こう呟いた。
だが、心の中では別の事を考えている。

もしも、家族から忘れられたら?
ひとりぼっちになっちゃったら?
その時、私はどうすれば良いの?

そう考えては不安になり、泣きそうになる。
それでも彼女は夢を見続けた。





ある時、彼女は魔法の杖を手に入れた。
まるで夢だ、とも思った。
だが、その棒切れを一振りすればたちまち、

荒れた土から綺麗なヒマワリが咲き乱れ
冷蔵庫は甘いジュースでいっぱいになり
悪い人間はキャンディに変わってしまう。



そのうち少女は、力を悪用し始めた。
言う事を聞かないと魔法をかける、と友達を脅した。
何名かは、魔法で醜い魚に変えてしまった。

そうして、数日もすれば少女は女王の様に崇められる様になった。
それも全部、魔法の杖の力だ。





魔法の杖には、とあるデメリットがあった。
一つ魔法を使うたびに、周りが少女の事を一つを忘れてしまう。
最終的には、存在すらも認識されなくなる。


魔法の杖を手に入れ、ちょうど一年の時が経った。
彼女の事を覚えているのは、たった一人の兄だけだった。

家に入れば怒鳴られ、食べる物も何も無い。
そんな時に、兄は
「俺はずっと味方だよ」
と、お握りを持って来てくれた。


ある時、少女はとても可愛らしい服を見つけた。
欲しくて欲しくてたまらなくなり、ダメだと分かっていても、やってしまった。
服と引き換えに、少女は家族を失った。


もしかしたら、と兄に縋り付いてもゴミを見るような目で見下された。
そんな兄の様子に、少女の頭は絶望の文字で埋め尽くされた。
「ああ、私は何て事を。こんな力、最初から無ければよかったのに」
今更後悔しても、もう何も戻らない。
少女は最後の願いを唱えた。



「神様、神様。どうか私を殺してください。」



その願いは、すぐに叶えられた。

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作者名:ぽへっとしてる人。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pohetto/  
作成日時:2023年12月3日 14時

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