Awesome Ordinary (ページ18)

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傷心物語ページ18

韓国公演の千秋楽が終わった。

大きな会場でできたことも、こうしてファンが集まってくれることにも感動して泣いてしまうメンバーもいた。

打ち上げはもちろん大盛り上がりで、普段のまないメンバーも二次会にも参加したりしてついつい飲みすぎて寝てるやつもいる。

Aは飲みすぎてないかな、と顔を向けるといつもより飲んでないみたい。

俺と目が合ったことに気づくと『私抜けるね』と口パクで行ってカオスな二次会の会場から抜けていった。

お開きになって、マネヒョンに宿舎まで送ってもらう。

『Aのお兄さんが関係者席にいたから、ファンサいっぱいくれた！！』というツイートを見つける。

今日はお兄さんだけじゃなくて、”彼”も来てたからなんだけど。
誰にも言えない情報を心の中で返信してみたり。

『明日は休みだけど体休ませろよー』なんて言葉を聞きながら玄関の扉を開けると今日はいていたはずのAのヒール。

てっきりと泊まるんだと思ってたのに。
なんとなく心がざわざわしてAの部屋をノックして入る。

Yt「A、帰ってきたの？」
一人で使っている部屋のほとんどを占める大きいベッドに座ったAがこちらを向く。

Yt「泊まってくるのかと、」
俺の顔を見ながら瞬きをしたA涙がこぼれる。

Aって泣き顔までキレイなんだ、なんて今思うべきはそっちじゃないのに。

「ユウタくん、」
Yt「うん、どした？」
「別れた」
Yt「なんで、急に」
「ステージに立つ私を見て、僕が見たAの笑顔は全部偽物に見えたって」
Yt「え、どういうこと？」
「私、彼といるときよりメンバーと、みんなといるときのほうが幸せな顔してるみたい」

そういって伏せた目からまた涙の粒がこぼれる。

Yt「Aごめん、否定できんわ」

小さな肩を抱き寄せてぎゅっと抱きしめる。

練習生になったころから、俺が体調を崩すとAも体調崩したり、
Aのメンタルが落ちるときは俺も落ちたり。

本物の兄弟みたい、と言われた俺とA。

元気がないときも落ち込んだ時も、ぎゅーっとハグするのがお決まりだったのに、
Aに彼ができてからはさすがに遠慮してできんかった。

「返してくれてありがとう」なんて、傷心中のAには口が裂けても言えないそんな言葉をかみしめながら、力を込めて抱きしめた。