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『hope for you,hope for me』五 ページ37

「……。」

「でもなんで? なんでそんなに回りくどい事をしたの? 正当防衛が狙いでもないんでしょ?」


六院は曖昧な笑みのまま、ゆっくりと瞬きした。その瞬きはまるで、砂時計に残る僅かな砂金が落ちきっていくような、そんな印象を与える。

長く紡がれていた時の終わりを迎えるようで。




「いずれ起こると、分かって居ましたから」

「ねぇ、六院。一ついい?」


乱歩は静かに聞いた。元々疑ってはいたが、ここにきて六院に対面してから確信までに至ったことがある。

半分程度、真相を悟っている瞳が問う。



「いつからACHEsに接触される日を想定してたの?」

六院はゆっくりと口を開いた。その背後に一台の黒塗りのバンが小さく見えている。此方に向かって来る協力者。

六院にも音が聞こえているだろう。




「それは……─────……───────。」


諦めのような、微苦笑のような。
火傷した指を触るような表情で、唇が音を紡ぐ。

同時に乱歩は目を見開き。
静かだった発話を壊さない滑らかな操縦でバンが停車した。


「え……?」

名探偵は珍しく、本気で理解できない声を上げた。六院は肩を竦める。


協力者は乱歩の背へと悠々と歩いてきて、ゆっくりと探偵服の肩を抑えた。

役割交代の合図だ。

現れたのは男は六院よりも頭一つ背が高く、締まった身体にサラサラの黒髪。和風の男前という感じで西洋顔の六院と並ぶと妙に絵になっていた。

六院は乱歩に向き直り、別れの挨拶に掛かった。


「乱歩さん。楽しい時間でしたが、迎えです」

「……彼が例の協力者か。このタイミング、良く考えてあるね。」


乱歩は感嘆ともつかない感想を口にする。男は乱歩の肩から手を外し、腰に当てると六院に向かって口を開いた。



「で、俺は探偵サンを乗せて九州あたりまで飛ばせ、ってことか?」

「円城、喋らないで。その人、探偵じゃなくて名探偵だから。計画の端からバレる」

「あっそ。文句くらい言わせて欲しいがな、だって俺、お前に言われてロスから日本橋まで休みなしで来て、次はその足で九州だぜ? 殺してやりたい」

「どうぞ。やれるもんなら」

「今はやめとく。いずれ寝首かいてやるからな」

「汚いな。堂々と来なよ」

「辛辣すぎて泣きそうだ」










『いつからACHEsに接触される日を想定してたの?』

『それは……探偵社に入る直前ですよ。
これを計画したのは四年七ヶ月前ですから。』

『hope for you,hope for me』六→←『hope for you,hope for me』四



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リゼ(プロフ) - とても面白くて3週してしまいました(笑)作者様の思い描く物語がどう展開していくのか全く想像できないので、楽しく読ませてもらっております。いつも作者様のこの作品を心待ちにしています!!大変だとは思いますが、頑張ってください。応援しています!!! (2021年7月10日 11時) (レス) id: b15481d520 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - アバンギャルド・マボさん» わあああ!!お久しぶりです覚えててくれたんですね!!!(´;ω;`) がんばりますーーー! (2021年6月10日 22時) (レス) id: d65e81f2c3 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - わぁあ待ってました!!再連載ありがとうございます!! (2021年6月10日 17時) (レス) id: 253e5eff26 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ういろうさん» ありがとうございます、遅くなっちゃいましたね。できる範囲で進めていこうと思います。コメントありがとうございました。 (2021年6月10日 2時) (レス) id: 2f72b0193e (このIDを非表示/違反報告)
ういろう - とても面白いです!六院さんの破綻された性格がすごく好きです!!続きも気になりますがあまり無理しないでくださいね!応援しています! (2020年1月9日 0時) (レス) id: 03bfdf54f9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Drastic1/  
作成日時:2018年3月28日 22時

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