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『壊れたシナリオに哀悼を』一 ページ1

破砕音。銃撃音。
六院との仕事は破壊が多い。壊れた破片の渦の中、再び異能を放つ。

二手に別れたので今頃六院の方も派手に遣っているだろう。隣室から刃物の競り合う音がする。

中也は目の前に次から次へと姿を現す敵を蹴り倒し、いなし、最後には黙らせる。一連の動きは洗練され尽くし、戦うというよりはいっそ舞いでもするかのようだ。
また一人、地面に叩き付けた。そこでハッと顔を上げる。

轟音。


「な……!」

隣の部屋だった。ちょうど張り倒そうとしていた男をやや雑に処理しつつ、思わず六院を思い浮かべる。彼奴、爆弾なんか持ってたか?


「おい、無事か……!」


彼奴の事だからそう簡単には、とは思うものの、矢張りブランクがあるから、などと脳内で言葉を計上していく。幸運なことに中也の要る部屋は敵が全員伸びたか死んだか人らしき破片になったかしており、加勢可能だ。

扉を蹴り開け、そこで絶句。遅れてくる少々の後悔。

そうだった。そういえば、此奴は。


「あぁ、中也、終わったの」


……昏い目。歪む口。赤い血糊。左手には襤褸の男の髪を引き摺る。死にかけの男は最期の力もないらしい、抵抗もせず、安否が分からない程に衰弱させられている。

そう。中也が存分に暴れた正にその隣を、いつの間にかスプラッタ部屋にしていたのだ。

頭から足元まで血に染まり、その癖まだ戦り足りないとばかりに、冷たく冴えた笑みを張り付けた、六院によって。

……心配など、必要なヤツではなかった。

敵組織の男達も、まさか中也の純粋かつ圧倒的な暴力と、六院の拷問的責め苦との二択をとらされるとは思わなかっただろう。彼らの大半がこれから向かう地獄の方が、幾分か安らかに違いない。

さて、この圧倒的ホラーな光景。
常人なら震えるか凍り付くかの二択だが、これに関する中也の返答は一つ。


「大分、派手に遣りやがったなァ」

表面上は呆れた顔。内心は至極愉しんでしまっている。それは戦闘民族たる中也なので仕方がない。

こんな景色であるが、恐れなどない。六院の此れは見慣れている。戦闘狂の習癖ってやつだ。

中也が驚くとしたら、これを隠してよくもまあ探偵社なんかで偽善行為を出来たものだという、そちらにこそ。だから中也は次に笑みを張り付け、問うだけ。


「で、次のご予定はなんなんだ?」

「墓参り」


六院は雑巾以下になった人間を前に蹴り出しつつ、そう云った。

聞いた中也が、あんぐりと口を開けたのは言うまでもない。

『壊れたシナリオに哀悼を』二→



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リゼ(プロフ) - とても面白くて3週してしまいました(笑)作者様の思い描く物語がどう展開していくのか全く想像できないので、楽しく読ませてもらっております。いつも作者様のこの作品を心待ちにしています!!大変だとは思いますが、頑張ってください。応援しています!!! (2021年7月10日 11時) (レス) id: b15481d520 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - アバンギャルド・マボさん» わあああ!!お久しぶりです覚えててくれたんですね!!!(´;ω;`) がんばりますーーー! (2021年6月10日 22時) (レス) id: d65e81f2c3 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - わぁあ待ってました!!再連載ありがとうございます!! (2021年6月10日 17時) (レス) id: 253e5eff26 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ういろうさん» ありがとうございます、遅くなっちゃいましたね。できる範囲で進めていこうと思います。コメントありがとうございました。 (2021年6月10日 2時) (レス) id: 2f72b0193e (このIDを非表示/違反報告)
ういろう - とても面白いです!六院さんの破綻された性格がすごく好きです!!続きも気になりますがあまり無理しないでくださいね!応援しています! (2020年1月9日 0時) (レス) id: 03bfdf54f9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Drastic1/  
作成日時:2018年3月28日 22時

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