ウツボのミイラ ページ22
｢ごめんなー。ウツボの干物になるところだっただろ。｣
｢冗談じゃありませんよ…。｣
少しだけやつれた顔をした人魚が湖から顔だけ出してこちらを見ている。
｢でも、助けてくれてありがとうございました。｣
｢全然いいってことよ。｣
情けは人の為ならずってな〜。
彼はぺこり。と人魚にしては珍しくも陸流のお辞儀をした。水面に顔がぱちゃりと当たり小さな波紋を作っていく。
顔をあげた時彼の傷がくっきり見えて、治していなかったことを思い返す。
呪文を唱えながら指を振れば彼の体は淡い光に包まれ、みるみるうちに傷が消えていった。
｢やはり陸の魔法は知らないものが多いですね。｣
(いや、それは俺だからというか…。なぜかはわからんけど俺が人よりちょーっと寿命が長いというかなんというか…。)
そう素直には言えないので、適当に誤魔化す。
ある時人魚に仕えていたことがあったが、海の世界はそれこそ弱肉強食。勝てば美酒。負ければ苦汁どころではなく死。ヤンデレ乙女ゲー並の恐ろしい場所だった…。そういうスリルは求めてない。
｢そりゃあ陸の方が海よりか発達してるかもな。1回陸で生活体験でもしてみたらどうだ？｣
｢そうですね…でも。人間になるにはヒレをふたつに裂かなければならないんでしょう？｣
｢…？…ヒレを…？裂く……？ふたつに？
………ハハハハハ！！！ンなわけねぇだろ！！！普通に死ぬわ！！！！！！｣
俺が笑えば、ジェイドは少しだけ目を見開く。
その後も俺は笑い続けるので、彼はへそを曲げてしまったのか、水中へと消えてしまった。
｢はー久しぶりに笑ったー……ハハハッ…。
｢それは御大層なことですねっ…｣
体温が低いはずの人魚の顔が赤くなっているのが面白い。
子供はからかいすぎると面白いが良くない。これくらいにしとくか…。
｢まーまー。そんな突っぱねんなって。さっさと帰ろ！｣
｢元はと言えば…。｣
俺が笑うと彼はむむっと口を閉じた。
言うことを聞くことはいい事だ。
・
・
・
｢ここでいい？｣
｢うん…。｣
｢ひひ。ちょっと安心したでしょ。ほら、君が言ってた双子の兄弟もあそこに……って顔怖っ！！！そして速！！！！え？アンタの兄弟ジョーズの末裔か？？？？｣
｢そうかもですね…。腕持ってかれないように気をつけてください。｣
｢ぴ｣
あまりの恐ろしさに、彼を優しく海に放し自分は数メートル高く舞い上がる。
双子はすぐにゴマ粒の大きさになったが、抱きしめあっているのが、空からでも分かった。
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ふねぬい(プロフ) - 虚さん» いや〜ん…告白されちゃった(照れ)次作は案練り中！コメントありがとうございます！ (2020年8月6日 0時) (
レス) id: 71289eb0fd (このIDを非表示/違反報告)
ふねぬい(プロフ) - アカバさん» 応援＆コメントありがとうございます！続きは模索中です！ (2020年8月6日 0時) (レス) id: 71289eb0fd (このIDを非表示/違反報告)
虚(プロフ) - 好きですっ！お気に入り失礼しますっ！更新気長に待ってますっ！ (2020年8月5日 23時) (レス) id: 7c0e52b0b9 (このIDを非表示/違反報告)
アカバ - 初コメ失礼します！面白いです！応援しています。頑張って下さい！！ (2020年8月5日 18時) (レス) id: 25e6345673 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふねぬい | 作成日時：2020年7月5日 23時
