空飛ぶものたち ページ21
ガラスを突き破って、夜の闇に入る。
角は出してなかったから、ガラスに当たった脳天が痛い。
｢今日は月が大きいなぁ。｣
腕に抱いた人魚くんはキラキラした目をしていた。
人魚が空を飛ぶなんてあまりない事だろう。
｢あなた人間じゃなかったんですね。｣
｢あぁ………うん。
…というか人魚ならさ、ここまで近くで月を見るって初めてでしょ。｣
｢…はい。｣
｢俺もこの高さで見る機会あんま無いからなー。
かなり久しぶりな気がする！｣
俺は鼻息荒くそういったが、少年はそれに反応せずに、至ってつまらなさそう顔で俺に問いかけて来た。
｢……なんで僕を助けたんですか？｣
｢いや、まぁ見捨てるのも決まりが悪いじゃん。｣
｢それでは他の人は？先に売られた人はどうなんですか？｣
｢あー。それは大丈夫。ドアに鍵かける時会場の方に眠り薬を魔法で撒いといた。んで、君の魔法で煙も上がってる事だし…流石に警察も気づくっしょ。｣
月の光に照らされて、彼の顔が良く見える。
憮然とした表情でも崩れない、端正なお人形さんみたいな顔をしている。
…やっぱり人魚には美人さんが多いのかな。
｢俺はシル。ねぇ、名前なんて言うの？｣
｢ジェイドです。｣
｢ふーん。いい名前じゃん。…で、家は？｣
｢…珊瑚の海という所ですね。｣
｢珊瑚の海…？？えーっとここからだと…その前にここどこだ！？？｣
｢ここはどこかは分かりませんが、そう故郷から離れて無いと思います。｣
｢うーん。場所はわかんないけど、アンタが覚えてるなら話が早いな。｣
とんとんと彼の額を押して彼自身の記憶を辿る。
ぼんやりとだが、海までの道筋が頭に入ってきた。
｢よしっじゃあ珊瑚の海に行こっかな。｣
｢今何をしたんです？｣
｢帰り道を教えて貰っただけー。｣
彼は俺にそう言われると、元々顰めていた眉のシワがより一層深くなる。
｢あなたって変わった人なんですね。｣
｢そうか？…そんな事言われたことないな。｣
｢いや、変わってますよ。｣
｢かなり？｣
｢かなり。｣
嘘だろ…？長いこと生きると今どきの子とは感覚がかけ離れてんのかなー。
彼の記憶通り、道に沿って飛んでいく。
飛んでいく内に、自分の手に感じる感触が変化してきて、つるつるだったものが少しだけ手に引っかかるようになってきた。
恐らくジェイドの尾っぽが乾燥してきている。
顔も若干苦しそうだ。
数分間飛んでいるのだ。これでも結構持った方だろうな。
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ふねぬい(プロフ) - 虚さん» いや〜ん…告白されちゃった(照れ)次作は案練り中！コメントありがとうございます！ (2020年8月6日 0時) (
レス) id: 71289eb0fd (このIDを非表示/違反報告)
ふねぬい(プロフ) - アカバさん» 応援＆コメントありがとうございます！続きは模索中です！ (2020年8月6日 0時) (レス) id: 71289eb0fd (このIDを非表示/違反報告)
虚(プロフ) - 好きですっ！お気に入り失礼しますっ！更新気長に待ってますっ！ (2020年8月5日 23時) (レス) id: 7c0e52b0b9 (このIDを非表示/違反報告)
アカバ - 初コメ失礼します！面白いです！応援しています。頑張って下さい！！ (2020年8月5日 18時) (レス) id: 25e6345673 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふねぬい | 作成日時：2020年7月5日 23時
