検索窓
今日:1 hit、昨日:43 hit、合計:143,998 hit

. ページ39

仕事終わりなど、ちょくちょく顔を出してくれるドンウさん。
客層的に同世代との関わりは少ないので、彼との会話は楽しいものだった。

DN「そういえばこの前、大丈夫でした?」

「この前?」

DN「SUGAさんですっけ、付き合ってるんですよね?」

せっかく会えたのに、邪魔してすいません。
気遣い屋な彼は申し訳なさそうにそう話す。

「気にしないでください、付き合ってるとか…そういうんじゃないので。」

DN「え?」

私の言葉に驚いた顔をしてみせるドンウさん。

「幼馴染で、私の秘密を知っていたから、付き合ってるふりをしてくれていただけなので。」

自分で言っていて悲しいけれど、これが事実だ。
あくまでユンギはユリが好きで、恋人関係になったのだ。
Aじゃない。

改めて考えてみれば、そういう経緯があったのに未だに会いに来てくれるユンギは本当に優しい。
一応、問題ごとは片付いてしまったからもう私に会う必要なんてないはずなのに。

傍に居たい、大切にしたい、その言葉を何の疑いもなく受け止めていた私は本当に甘い考えをしている。

優しいユンギが気遣ってくれていただけなのに。

DN「あの…」

1人悶々と考え込み悲しくなっていた私に、ドンウさんが声を掛ける。
慌てて頭の中を振り払い彼を見ると、どこか気まずそうに目線をそらしながら口を開く姿が目に映る。

DN「大変おこがましいんですけど、Aさんさえ良ければ今度食事でも行きませんか?」

照れ臭そうにそう話す彼。
私だってそこまでにぶくない。
少なからず、彼は私に好意を持ってくれているのだろう。

だけど、騒動は収まったとはいえ、いくらなんでもここで異性と出掛けるのは不用心すぎるだろう。
そう思って断りを入れる。

「ごめんなさい、まだそういうことは考えてなくて…」

DN「い、いえ気にしないでください!」

私に気を遣わせないよう、笑ってくれるドンウさん。

DN「これからも、お店でお話出来ればそれで充分です。」

申し訳なさが心を支配していた私にとって、その言葉はなんともありがたいものだった。

ドンウさんが帰り、1人になった店内。
ユンギのことを考えると、どうしても私がただの足枷のように感じてしまう。

優しい彼はそんなことない、と言ってくれるだろうけれど。

意味のない相手不在の問答を、ただただ頭の中で繰り返していた。

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (184 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
475人がお気に入り
設定タグ:防弾少年団 , BTS , ユンギ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

土星(プロフ) - (≧∇≦)さん» 作品を読んでくださり、感謝します。気分を害すなど、とんでもないです!少しでも楽しんで頂けたようでしたら、嬉しいです。コメントありがとうございました! (2020年12月3日 17時) (レス) id: fe9093fdaf (このIDを非表示/違反報告)
(≧∇≦)(プロフ) - 土星さん» そうなんですね!…失礼しました…とても詩が心にくるものだったので、もしかしたら何かの詩を元にしたのかとかになりコメントさせていただきましたら。気分を害してしまっていたらすいません。とてもこの作品に感動しました。 (2020年12月3日 17時) (レス) id: d81d3472fb (このIDを非表示/違反報告)
土星(プロフ) - (≧∇≦)さん» この詩は一応、自分で考えたものです。でもよく書かれるような内容なので、既存の何かしらと似てしまったのかもしれません。 (2020年12月3日 7時) (レス) id: fe9093fdaf (このIDを非表示/違反報告)
(≧∇≦)(プロフ) - この詩は何の詩ですか?なにか見た覚えもあるような気がして… (2020年12月3日 3時) (レス) id: d81d3472fb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:土星 | 作成日時:2020年10月21日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。