【大人たちは語る】長瀬夕香-1 ページ3
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私は、プロデュース業に就きたくて業界に来た。アイドルさんを、最も輝く形でプロデュースして売り出す。アイドルの追っかけをしていた中高生の私にとっては、それは夢のような職業だったのだ。だが、そんな夢も、ある時崩れた。――推しの不祥事疑惑である。推しは正直、何も悪くなかった。ただの疑惑であり、この話はフェイクニュースであった。被害者なのに悪し様に言われる推しを守ることさえできない事務所や、何の反応もしないプロデューサーの態度を見る度、歯痒さや少しの憎悪さえ覚えた。――私が、変えてやる。そう思うにはあまりにも自然な流れだった。
幸い、私は実力にも環境にも恵まれており、異例のキャリアアップを果たした。そして、この企画のプロデューサーとなったのだ。
まず、デビュー確約のオーディションを行い、そこから更に投票によってデビュー順が決定する。少女たちの神経をすり減らすことになるだろうが、これは社内での決定となってしまい動かすことができなかった。――必ず守らねば――私は自分に言い聞かせた。
審査は1次に書類、2次に配信、3次に面接と課題曲審査。これらを通過した少女たちは皆実力者揃いでファンも持っている。あとはこちらのプロデュース能力と、彼女たち次第だ。
「――こんにちは」
どうか頑張ってほしい。そんな願いを込めて、彼女たちを強い視線で見た。
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作者名:Marimo | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/bbs/Itoda7Marimo3
作成日時:2021年10月18日 23時