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杉元くん達が橇を直している間、御夫婦が食事を提供して頂けるとの事なので、私とチカパシくんとエノノカちゃんで僭越ながらお手伝いをさせて頂く事になった。
言葉が分からない為、身振り手振りでどうにか作り方を聞きながら作ったペリメニという餃子の様なロシア料理は、上手く出来たのではと思う。
途中で、何故か外套が濡れて金槌を手にしている鯉登くんが神妙な顔付きで入って来た。良かった、丁度呼びに行こうと思っていた所だ。
「鯉登くん、橇はどんな感じ？もう出来上がるから皆呼んできて欲しいんだけど…どうしたの？」
「金槌が掌にくっ付いてしまってな…杉元に小便を掛けられた」
「あー、素手で金属に触っちゃったのね。言ってくれたらお湯を持って行ったのに」
鯉登くんから少し距離を取りながら、憐れみの眼差しを向けながらそう伝えれば、その手があったか！とでも言う様にハッとしていた。
きっとテンパってしまって、その発想まで辿り着かなかったのだろう。ご愁傷様だ。
「…取り敢えず、手とか色々洗った方が良いね」
「そうする…」
しょんぼりしながら手洗い場へ向かっていった鯉登くんを見送って、杉元くん達を呼びに向かった。
沢山のロシア料理を皆で囲んでワイワイしていると、御夫婦は嬉しそうに何かを伝えて来た。
「何時もは二人だけなので、賑やかな食事は嬉しいとさ」
「ご家族は他に居ないの？」
「あの写真は娘か？」
鯉登くんが指差した方に視線を向けると、そこには額縁の中に若い女性が座っている写真が飾られていた。
すると、先程まで嬉しそうにしていた御夫婦の表情が強張って、黙り込んでしまっている。
これは何か訳ありな気がするなぁと不思議思っていれば、旦那さんがポツリと話し始めた。
あの写真の女性はやはり娘さんの様で、日露戦争前から燈台守として暮らしていたのだが、ロシア軍の脱走兵が現れて暫くは暮らしていた様だ。
けれど、その脱走兵に大切な一人娘を連れ去られてしまったのだと言う。
あちこち探し回ったが見つからず、軍や政府にも頼んだが一切何もして貰えなかったらしい。
やがて日露戦争で日本軍が樺太に上陸すると、事前にロシア政府から日本軍に燈台を利用されない様破壊しろと言われていたが、対応してくれなかった政府に憤っていた御夫婦は、素直に燈台を明け渡したそうだ。
北に新しく燈台が建てられて此処は不用になったが、今でも娘さんが帰って来るのを待っているのだと言った。
娘さん、愛されてるなぁ…
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カピバラ(プロフ) - なっちゃんさん» コメありがとうございます！ドキドキして頂けたのなら良かったです！もどかしい展開をしていければと思っておりますので、今後とも宜しくお願い致します。 (2023年4月4日 23時) (
レス) id: 6c01959b81 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - 女主ちゃんと軍曹の絡み毎回楽しいです。ドキドキキュンします！軍曹なんて言おうとしたの〜><！！ (2023年4月4日 12時) (レス) @page41 id: f79473b3d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カピバラ | 作成日時：2023年2月22日 3時
