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「本当にしっかりした子だなぁ〜」
お金の受け渡しが終わったのか、鯉登くんとがっしり握手をしたエノノカちゃんにチカパシくんが近寄って話しかけたのだが、エノノカちゃんは見向きもしないで離れて行ってしまった。
二人は仲が良かったから、別れるのが辛いのだろう。
「待っててやるから、ちゃんと話しておけよ」
離れて行くエノノカちゃんの後ろ姿をただ見詰めているだけのチカパシくんの背中をそっと押してあげれば、木の裏に座り込んでいるエノノカちゃんの元へと駆け寄った。
離れているから何の話しているのかは分からないが、二人なら大丈夫だろう。
「行くぞ、皆乗れ！」
鯉登くんの号令で馬橇に乗り込む私達の元に、話終わったチカパシくんが戻って来たのだけれど、何処か浮かない表情をしている。まさか、あまり良くない別れ方をしちゃったとか？
私の心配を他所に、馬橇はドドドと進み始めてしまった。
御見送りをしてくれている彼女達の方に視線を向ければ、肝心のエノノカちゃんはお爺ちゃんの背後に隠れてしまっている。
もしやと思いチカパシくんの方に目をやれば、やはり此方も何処か様子のおかしかった。
心配になりチカパシくんに話しかけ様とした時、エノノカちゃんがチカパシくんを呼ぶ叫び声が聞こえた。
「エノノカ！待ってて！俺絶対に…わ〜ッ！？」
「止めてくれ！一人落ちた！」
振り返り叫んだチカパシくんがバランスを崩して馬橇から転がり落ちてしまった。
少し離れた所に止まってチカパシくんを見れば、直ぐに立ち上がっていたので特に怪我は無さそうで安心した。
早く戻っておいでとチカパシくんを呼ぶが、彼の視線の先はエノノカちゃんの方を向いていた。
そして此方の方に向き直り戻って来るかと思いきや、その場で立ち尽くしている。
「少し待っててくれ」
そう言って谷垣さんが馬橇から降りて、チカパシくんの元へと向かって行った。
「怪我でもしたぁ？」
「迷ってるんだと思う。残るべきか、進むべきかを」
谷垣さん達の方を見ていれば、谷垣さんが背負っていた二瓶さんの村田銃をチカパシくんに渡していたので、どうやら彼は此処に残る選択をした様だ。此処に着いてずっと悩んでいたのだろう。
彼の決めた事を止める理由は何処にも無いので、寂しいけれどチカパシくんとも此処でお別れだ。
谷垣さんを乗せれば再び馬橇が進み、小さくなっていく彼等に向けて見えなくなるまで手を振りながら、私達は待ち合わせ場所である大泊へ向けて出発した。
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カピバラ(プロフ) - なっちゃんさん» コメありがとうございます！ドキドキして頂けたのなら良かったです！もどかしい展開をしていければと思っておりますので、今後とも宜しくお願い致します。 (2023年4月4日 23時) (
レス) id: 6c01959b81 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - 女主ちゃんと軍曹の絡み毎回楽しいです。ドキドキキュンします！軍曹なんて言おうとしたの〜><！！ (2023年4月4日 12時) (レス) @page41 id: f79473b3d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カピバラ | 作成日時：2023年2月22日 3時
