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小首を傾げていると、アシリパちゃんは知らないのか？と眉を顰めた。
「アチャから教えて貰ってる筈だぞ」
「待って、あと少しで思い出せそうなの…！」
うーんうーんと頭をフル回転させながら、記憶を呼び起こす。
…そうだ！あれはウイルクさんが居なくなる数日前の事だ。
スヤスヤと寝息を立てているアシリパちゃんを撫でていると、話があるとウイルクさんに呼ばれた事があった。
何だろう？と思いながらウイルクさんの後を着いて歩き、コタンから少し離れたクチャまで連れて来られ、此処なら大丈夫だろうと言うと、真剣な顔をして私を見詰めた。
張り詰める空気の中、緊張のあまりゴクリと固唾を飲む。
Aには話して置かなきゃならない事がある…そう言って教えて貰ったのがアシリパちゃんの和名と、ウイルクさんのアイヌでの名前だった。
この事はウイルクさんとアシリパちゃんのお母さん、そしてアシリパちゃんしか知らない事だから、他言無用だと言われていたのを思い出した。
「確か…狼に追い付くという意味の、ホロケウオシコニ…だっけ？」
「ああ、そうだ」
「だけど何でウイルクさんの名前を…あ！暗号を解く鍵ってもしかして！？」
驚いてアシリパちゃんの方を見ればうんと頷いて見せた。
当時の私は、何であって間もない人間に他言無用の内容を教えたのかが謎でしか無かったが、まさか数年越しにその理由が分かるなんて思いもよらなかった。
あの時からウイルクさんは私も、この金塊戦争に巻き込む予定で居たのだ。
私がアシリパちゃんへの恩返しを必ずすると約束したから…！なんて人なんだ…！
「あー…この事って他に誰か知ってる？」
「いや、まだ私とAだけだ」
「そっか。杉元くんにはいつ言うの？」
そう問い掛けた途端、アシリパちゃんは黙り込んでしまった。
「…別に急がなくても良いと思うよ。勘付いてる人はまだ居なさそうだし」
「いや、尾形は勘付いてる。私に教えろと言ってきたから」
「尾形さんか…うーん…厄介だな。ただ、勘付いてるだけで内容は教えて無いんだよね？それならまだ大丈夫だろうから、伝えなきゃいけない時に伝えれば良いよ。私もそれに合わせるから」
二人だけの秘密だね！とニヤニヤしながら笑って見せれば、アシリパちゃんの険しい表情が和らぎ、そうだな！と笑みを見せてくれた。少しは元気が出たみたいで良かった。
「そろそろ戻ろう？今頃杉元くんがソワソワしだす頃だろうから」
私達は杉元くんの居る旅館へと戻った。
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カピバラ(プロフ) - なっちゃんさん» コメありがとうございます！ドキドキして頂けたのなら良かったです！もどかしい展開をしていければと思っておりますので、今後とも宜しくお願い致します。 (2023年4月4日 23時) (
レス) id: 6c01959b81 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - 女主ちゃんと軍曹の絡み毎回楽しいです。ドキドキキュンします！軍曹なんて言おうとしたの〜><！！ (2023年4月4日 12時) (レス) @page41 id: f79473b3d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カピバラ | 作成日時：2023年2月22日 3時
