347. ページ47
アシリパちゃんに背負わせたく無い杉元くんと、アイヌ文化の為に戦う覚悟の出来ているアシリパちゃん。
黙り込んでしまった為に気不味い空気が流れる中で、杉元くんが口を開いた。
「…Aは如何思う？」
「私？私は…」
杉元くんとアシリパちゃんからの視線が痛いが、私はもう前から決まっている。
「私は…アシリパちゃんには危険な事はして欲しく無いと思ってるよ」
「ほら、Aだってこう言って…」
「ただ、今はアシリパちゃんがやりたいと言うのならやらせてあげたいし、その為なら全力で手を貸すって出会った時から決めてるから。それに…思ってる程アシリパちゃんは子供じゃないよ」
「A…！」
「ッ、…そうかよ」
軍帽を深く被り直せば足早に立ち去ってしまった。
去って行く杉元くんの後ろ姿を見て、正直今帰っても宿も部屋も同じだからとても気不味いんだよなぁ…と思っていれば、アシリパちゃんからありがとうと感謝の言葉を呟いた。
「Aは杉元と同じ事を言うだろうと思っていたから、驚いた」
「私も驚いたよ。いつの間にかこんなに大人になっちゃってさ…立派に育って嬉しい反面、ちょっと寂しいけどね」
「…何だかフチみたいだぞ」
「何を〜？未だ若いですけどぉ〜？」
アシリパちゃんに抱き付いて、このこの〜ッとワシャワシャ撫で回してやれば、止めろ！と言いながらも拒絶はして来ないので、思う存分撫で回してやる事にした。
一頻りキャッキャと戯れられて満足したので、そろそろ戻ろうかと提案すると、待ってくれとアシリパちゃんに引き止められた。
「如何かしたの？」
「思い出したんだ」
「思い出したって…何を？」
「暗号を解く鍵だ」
「はぇ…？ええッ！？」
予想外の言葉に理解が追い付かず、間抜けな声が出てしまったがそれどころでは無い。
ササッと辺りを見渡して誰もいない事を確認し、アシリパちゃんに耳打ちをする。
「思い出したって如何言う事！？」
「キロランケニシパとの旅で思い出せたんだ。Aはアチャの名前は知っているか？」
「そりゃぁ勿論知ってるよ？ウイルクさんでしょ？」
今更そんな事聞いて如何したんだ？と思っていたが、アシリパちゃんは違う首を振る。
嘘だろ…？じゃあ私が今まで呼んでた名前は間違えてたって事？
「ヤダァ！私ずっとウイルクさんって呼んでたよ！？違うんだったらもっと早く教えてよぉッ」
「大丈夫だ、合ってる！けどそうじゃない！アチャの本当の名前だ」
ウイルクさんの本当の名前…？
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カピバラ(プロフ) - なっちゃんさん» コメありがとうございます！ドキドキして頂けたのなら良かったです！もどかしい展開をしていければと思っておりますので、今後とも宜しくお願い致します。 (2023年4月4日 23時) (
レス) id: 6c01959b81 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - 女主ちゃんと軍曹の絡み毎回楽しいです。ドキドキキュンします！軍曹なんて言おうとしたの〜><！！ (2023年4月4日 12時) (レス) @page41 id: f79473b3d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カピバラ | 作成日時：2023年2月22日 3時
