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急いで外へと避難したは良いのだが、アシリパちゃんの姿が何処にも無い。
「あれ？アシリパちゃん居なくない？」
「本当だ、アシリパさんは？」
辺りをキョロキョロと見渡すと、一人皆の元から静かに離れて行くのが見えて杉元くんと共に駆け寄って話し掛けるが、口を閉ざして返事すらしてくれなかった。
やっぱり最近のアシリパちゃんは何処か様子がおかしい。
大丈夫？と問い掛けると、ポツリポツリと話始めてくれた。
「活動写真は素晴らしい技術だけど、今生きる私達の全てを残すにはまだ十分な物じゃなかった。
母の顔は初めて見る事が出来たけれど、あの場面の記憶は私には無い。アチャが話してくれた母の思い出の方が、体温まで伝わる程残っている」
私もアシリパちゃんの母親に会った事は無いけど、頻繁にウイルクさんに母親の事を聞くアシリパちゃんを見ていたし、一緒になって話を聞いたり、教えてもらったりしていたからアシリパちゃんの言う事は分かる。
確かに会っては居ないけど、話だけなのにジンワリと心や身体が温まるのを感じた事もあった。
それを踏まえてアシリパちゃんは、自分達で大切にする気持ちが無くては残っていかないのだと言った。
「キロランケニシパから色んな民族の生活を見せてもらった。北海道に居ては知らない事ばかりだった。樺太の旅は…それを知る為のものだった。キロランケニシパやアチャの言う通り、守る為には戦わなければならないのか…」
ああ、まずいな…その言葉。
チラリと隣に居る杉元くんの方に視線を向ければ、杉元くんから戦闘中の様な怒りにも似たオーラが出ている様な雰囲気を醸し出している。
杉元くんに限って絶対アシリパちゃんに掴みかかる様な事はしないと思ってはいるが、我を忘れて暴れ回った前科があるので、万が一に備えてゆっくりと腰に下げているマキリに手を添えた。
「杉元くん、落ち着いて」
落ち着かせる為にポンと背中に手を添えれば、分かってるよと返されたが、雰囲気はさっぱり収まる様子は見受けられない。
「それは、アシリパさんじゃなくたっていいじゃないか」
「金塊を見つけたら後は小樽に帰って始めて杉元に出会った頃と同じ様に…熊や鹿を追いかけてヒンナヒンナして暮らせと言うのか？」
正直驚いた。
ウイルクさんが居なくなってから、ほぼ毎日山に籠って狩をしていたのに、そんな事を言うなんて思いもしなかったからだ。
アシリパちゃんにとってこの旅は金塊の他に、大人になる為の旅だった様だ。
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カピバラ(プロフ) - なっちゃんさん» コメありがとうございます！ドキドキして頂けたのなら良かったです！もどかしい展開をしていければと思っておりますので、今後とも宜しくお願い致します。 (2023年4月4日 23時) (
レス) id: 6c01959b81 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - 女主ちゃんと軍曹の絡み毎回楽しいです。ドキドキキュンします！軍曹なんて言おうとしたの〜><！！ (2023年4月4日 12時) (レス) @page41 id: f79473b3d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カピバラ | 作成日時：2023年2月22日 3時
