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何か言いた気な月島さんだったが、聞き返しても気にするなと言って教えてはくれなかった。一体何だったのだろうか？
「着れたのか？」
「うん、月島さんのお陰でバッチリ！どう？似合う？」
久しぶりに着た女性物の着物は矢張り窮屈ではあるけど、少しばかりではあるがテンションは上がる。
袖を広げてクルリと回って見せて感想を聞いたのだが少し黙った後、鯉登くんは馬子にも衣装だな！と言った。
自分でも似合って無いとは思ってるけど、少しぐらい褒めてくれたって良いのに、ケチー！と冗談混じりに拗ねていれば、いつの間にか私達の撮影現場に居たヴァシリさんが近寄って来た。
彼はアシリパ監督に頼まれて、お城の張りぼてを描いていた筈だ。
「あ、ヴァシリさん！お城、描き終わったんですか？」
ロシア語は分からないので身振り手振りで伝えれば、フンフンと頷いたので伝わったかな？と思った瞬間、ガシリと両手を握り締められてしまった。
「え？あー…えっと？」
私より頭一つ分程上にあるヴァシリさんの目を見れば、キラキラとした視線を向けられているではないか。
そしてあろう事か、彼は片方の腕を私の腰に回して引き寄せ、布越しではあるが握られた手の甲に口を寄せた。
予期せぬ出来事に、はわぁ…と情け無い声が漏れたのは仕方ないと思う。こんなお伽話の様な対応をされたのなんて初めてなんだもの！仕方ないと思う！
久しぶりの女装に心の中の乙女が出て来てしまったのかも知れない。…自分で女装って言うのもなんだけど。
「いつ迄そうしているつもりだ貴様、離れろ！お前も嫌なら嫌だと抵抗しろ！」
「あ、ごめぇん…」
ほわほわとしていれば、このお伽話の様な状況に痺れを切らしたのであろう鯉登くんが割って入って来たので、もう二度と無いであろう乙女タイムが強制終了した。
お顔が良いと何をしても様になるの狡いと思う。
「ほらそこ！ノロノロしてないで次の準備をしろ！変わりは幾らでもいるんだぞ！？」
「はい、すいません！今すぐ！」
アシリパ監督に見つかってしまい、急いで撮影の準備に取り掛かると、パナンペ・ペナンぺ物語第二話の撮影が始まった。
一通り撮影を終えたのだが、アシリパちゃんの様子が可笑しい。
近づいてどうしたのかと問い掛ければ、こんな芝居じゃ伝わらないと、台本をグシャリと握り締めて切羽詰まった顔をしていた。
「どうしたんだアシリパさん、様子が変だよ」
杉元くんが問い掛けるも、深刻な表情は変わらなかった。
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カピバラ(プロフ) - なっちゃんさん» コメありがとうございます！ドキドキして頂けたのなら良かったです！もどかしい展開をしていければと思っておりますので、今後とも宜しくお願い致します。 (2023年4月4日 23時) (
レス) id: 6c01959b81 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - 女主ちゃんと軍曹の絡み毎回楽しいです。ドキドキキュンします！軍曹なんて言おうとしたの〜><！！ (2023年4月4日 12時) (レス) @page41 id: f79473b3d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カピバラ | 作成日時：2023年2月22日 3時
