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「おい、触んな」
背後から伸びて来た手が、私の手を握っているヴァシリさんの手を叩いて引き剥がしたかと思えば、グイッと引き寄せられた。
何事かと振り向けば、キッとヴァシリさんを睨み付けている杉元くんが目に入ると、そのまま私の手を引いて早く行こうぜと、外で待っている白石くん達の元へと向かった。
最近こんな事が多い気がするなぁ。
外に出て白石くん達と合流すると、白石くんは何処からか持って来たのか分からないが、松葉杖を使いながら待っていた。
「白石くん！大丈夫なの？」
「歩けなぁい。だからAちゃんが看病してぇ？…て彼奴は？」
相変わらず甘えて来た白石くんを支えていれば、私達の後から現れたヴァシリさんが気になったらしく、ジッと見詰めている。
簡潔的に説明すれば、白石くんにしては珍しく苛々とした様子でヴァシリさんに文句を言い始めた。
「ロシアの兵隊さんよお、次に人を探す時はまず本人が居ないか聞け！人の脚を撃ち抜く前になぁ！なんか言う事ねえのかよ！ロシア語には謝罪の言葉は無いのかねぇ！？」
白石くんの嫌味を月島さんがヴァシリさんに通訳すると、ペロリと口元を隠していた布を捲って見せた。
この時私も見る事が出来たのだけれど、彼の傷は両頬をかんつしている酷いものだった。
「ひーッ！」
「傷のせいで上手く話せないらしい」
その傷を見た白石くんは、顔を青ざめさせながら引いている。さっきまでの勢いは無くなっていた。
そんな白石くんに苦笑いしながら出発の準備を済ませた。
「私達はもう行かなきゃだけど…彼、どうするんだろう？」
「あんな奴は放っておけ。早く鶴見中尉殿の元へ向かうぞ！」
早くしろと急かす鯉登くん達と犬橇に乗り込み、ヴァシリさんはコレからどうするのだろうかと見れば、パチリとヴァシリさんと視線が合った。
しかし彼は特に何か行動を起こす事も無く、只々ジッと此方を見詰めているだけだ。
「早くロシアに帰れ、バカアホ」
白石くんの捨て台詞を聴きながら、ポツンと佇むヴァシリさんが小さくなって行くのを見詰めた。
暫く犬橇を走らせたが、わんちゃん達の休憩も兼ねて一旦立ち止まった時、かなり離れた所に誰か後を着いて来ているのを見つけた。
目を凝らしてみれば、そこには先程別れた筈のヴァシリさんが馬に跨っているではないか。
「何か用があるのかな？」
「多分、俺達の後を着いてくれば、尾形ちゃんに会えると思ってるんだと思うぜ」
成る程。それなら納得がいくわ。
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カピバラ(プロフ) - なっちゃんさん» コメありがとうございます！ドキドキして頂けたのなら良かったです！もどかしい展開をしていければと思っておりますので、今後とも宜しくお願い致します。 (2023年4月4日 23時) (
レス) id: 6c01959b81 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - 女主ちゃんと軍曹の絡み毎回楽しいです。ドキドキキュンします！軍曹なんて言おうとしたの〜><！！ (2023年4月4日 12時) (レス) @page41 id: f79473b3d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カピバラ | 作成日時：2023年2月22日 3時
