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あれから私達は尾形さんを追うことはせず、予定通り豊原へ向かうべく犬橇に乗って国境を超え、日も暮れて来たし怪我人も居るという事で、樺太アイヌの集落で休ませてもらう事になった。
そこのおばあちゃんは私達を歓迎してくれて、トノトまで出してくれた。特に白石くんは上機嫌だ。
「あんまり飲み過ぎちゃ駄目だよ？」
「大丈夫だって！ほら、せっかくだから再会の記念にAちゃんも呑みなよぉ」
「ええー？じゃぁちょっとだけ…」
久しぶりに飲んじゃおうかな？と思いながら差し出されたお椀を受け取ろうとしたが、杉元くんがそれを取り上げてしまった。
Aは飲んだら大変だから、駄目だよ！と言いながら、取り上げたトノトをゴクゴクと飲み干してしまった。
…そこまでしなくても良くない？
ショボンとしていると、お婆ちゃんがお米を取り出して何かをし始めた。
「お婆ちゃん何作ってんの？」
「酒のつまみだったら大歓迎だぜ」
お婆ちゃんは水を吸わせたお米を掬い上げると、口の中に頬張ってボリボリと砕き始め、暫くしてそれを吐き出して捏ね始めた。
捏ねたそれを程よいサイズに丸めて串に刺し、囲炉裏で焼けば完成の様だ。
確か何処かの文化に口噛み酒と言う物があるが、それと同じ事なのだろうか？
お婆ちゃんには申し訳ないけれど、あまりに衝撃的で手を出す事が出来なかった。
けれど、杉元くんは大きな口を開けて其れを頬張りながら、もう一つ手に取って白石くんの口にも押し込んだ。
「美味しい！美味しいよぉお婆ちゃん」
「癖になっちゃう」
そう言いながら、二人はバクバクと食べながらトノトで流し込んでいく。
あっという間に平らげた頃には二人ともベロベロに酔っ払っており、お婆ちゃんに擦り寄りながら、もっとちょうだい？とおねだりをし始めた。
「残りご飯を潰して焼く、秋田のキリタンポみたいなもんだな。きっと味噌を塗ったら合うはずだ」
「あ〜！それ絶対美味いやつ！でもなぁ〜俺の味噌入れた曲げわっぱ、いつの間にか荷物から無くなってたんだよなぁ！何処かに忘れたのかも…ちくしょう！」
「あぁ〜…？あれぇ？」
「残念だな杉元。残念だ…」
この反応…こりゃアシリパちゃんやったな。
何時ものアシリパちゃんなら、無くしたとなれば人一倍怒るはずだろうし、怒らなくても此処まで冷静にいられる筈はないもの。いつ取ったんだろう、気づかなかった。
そんな事を思っていれば白石くんがゴロンと横になり、待てないから直で頂戴！と叫んだ。
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カピバラ(プロフ) - なっちゃんさん» コメありがとうございます！ドキドキして頂けたのなら良かったです！もどかしい展開をしていければと思っておりますので、今後とも宜しくお願い致します。 (2023年4月4日 23時) (
レス) id: 6c01959b81 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - 女主ちゃんと軍曹の絡み毎回楽しいです。ドキドキキュンします！軍曹なんて言おうとしたの〜><！！ (2023年4月4日 12時) (レス) @page41 id: f79473b3d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カピバラ | 作成日時：2023年2月22日 3時
