322. ページ22
「うん、約束したからね」
「杉元もか？」
「まあな。俺は鶴見中尉達に協力する代わりに、金塊の分け前を要求してる。網走監獄であの夜何が起こったのか、アシリパさんにもう一度会って伝えるには、それしか思いつかなかった」
私の勝手な判断で刺青人皮を全部渡してしまったから、そうするしかなくなってしまった事について説明し、勝手な事をして御免なさいとアシリパちゃんに謝罪をした。
杉元くんは直ぐに、俺を助ける為だったのだと言ってはくれたが、あんなに一生懸命集めて来た物を全部無にしてしまった事にはかわりないのだ。
だから如何にかして、鶴見さんに渡してしまった刺青人皮を取り戻せないものかと考えてはいる。
「現状で一番金塊に近いのは鶴見中尉だ。まずは、金塊を見つけてやるさ」
「じゃあまだ道は同じだな、私達…」
「そうだな。相棒の契約更新だ」
相棒か…
今となっては二人のこの関係がデフォルトになっているからアレだけど、私も参加した初めの頃はヤキモチを妬いてしまっていた事を思い出した。
まあ今でも、杉元くんに対してズルいと思う事はあるけどね。
そんな事を考えていれば犬橇の準備が出来たと谷垣さんに呼ばれたので、お世話になった方々に挨拶をしてから北海道に向けて進んだ。
早い所北海道に行きたいのは山々なのだけれど、わんちゃん達の休憩も兼ねて私達は別のニヴフ民族の村で、休ませてもらっている。
そんな中、エノノカちゃんが“化け物川”というお話がニヴフにはあるのだと話始めた。
「え？やだ、怖い話？」
「杉元くんは案外怖がりだよね」
「そ、そんな事ないよ！？そう言うAこそ、怖いんじゃないの？」
「いや全く。寧ろ大好き」
ニコリと笑って答えれば、あり得ない…！という顔をされた。失礼しちゃうよ。
…ー
昔、男が化け物川で魚をとって焼いていると、遠くで人の声がして足音が近づいてきた。
だから男は化け物だと思い、服を全部脱いで焚き火の炭でお尻に大きな目を描くと、化け物の来る方にお尻を向けて股の間から見ていたと言う。
化け物が来ると、その大きな目をみて怖がり近づけなくて逃げて行ったそうだ。
ー…
「こうして化け物川に、化け物がもう来なくなったというお話…」
「こわい…」
「確かにそれは怖い。そりゃあ化け物も近寄らないよ、そんな事をしてる人がいたらさ」
怯えているチカパシくんを撫でながら、化け物に同情した。
全裸の男がお尻見せながら股の間から覗いてたら、そりゃ怖いわな。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カピバラ(プロフ) - なっちゃんさん» コメありがとうございます！ドキドキして頂けたのなら良かったです！もどかしい展開をしていければと思っておりますので、今後とも宜しくお願い致します。 (2023年4月4日 23時) (
レス) id: 6c01959b81 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - 女主ちゃんと軍曹の絡み毎回楽しいです。ドキドキキュンします！軍曹なんて言おうとしたの〜><！！ (2023年4月4日 12時) (レス) @page41 id: f79473b3d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カピバラ | 作成日時：2023年2月22日 3時
