会社にリストラされたらギャンブラーと元海軍に助けられた

消灯時間 ページ32

｢はぁ…ようやく1人になれた。｣

いつもならばようやく家に着いてゴロゴロし始める時間だけれど、なんだか落ち着かない。

住んでいたアパートのリビングと同じくらい、いや、それよりもちょっと広いくらいの空間にいるのに、部屋が整いすぎてるせいか、心做しか1人でいる時はしんみりとした雰囲気が漂っている。

買ってきてもらったイヤホンを刺し、スマホからお気に入りの曲を耳に垂れ流しても、その孤独感が消えることは無い。

｢…1人って、こんな寂しいものだったっけ。｣

ふと、昨日までの自分のことを思い出してみる。

会社辞めされられて、公園でギャンブラーに会って、ヨコハマの山まで歩かされて、元海軍に手料理とハブ酒を振る舞われ、トラブルもあったけどそのままぐっすり。

それからシブヤに戻ってきて、今に至るのだけれども…

その騒がしさが今になって恋しくなっているのは何故なのか。

そして、あの質問の答えはいつ見つかるのか。

｢…明日からは、治療に専念しなくちゃな。｣

私に課された次の課題は自身の治療。

生かしてもらった限りは、頑張って生きるしかないからね。

答えを探すのは、その後でもいい。

今は期待に応えられるように、前を向かないと。

おはようホスピタル→←夕暮れの来客

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す