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満たしてしまいそうな【帝統】 ページ26

シブヤの家に戻ったものの、結局はまた1つ生きるために必要なものを失ってしまった。

これでは目を覚ましたとしても意味がない。

私は昨日、職を失った。そして今日は帰る場所を失った。

今度こそ本当に、私の人生は終わったんだ。

そんな時、あの人の声が聞こえてきたんだ。






その声に導かれて目を覚ますと、何やら見知らぬ場所に寝かされていた。

「ここは…」

帝「っ…!A!!」

そう呼ばれた方向に振り向くと、あの猫のような顔がそこにあった。

あの時公園で会って、ヨコハマに連れていってくれた青髪の青年…有栖川帝統。

「帝統…」

帝「…マジで起きねぇんじゃねぇかと思った」

「え、いや、その…」

心配してくれるのは嬉しいけど…


めっちゃ近い。

もうホント自分が生きてることよりそっちにビックリした←

ていうか何故病室で2人きり!?一緒にいた幻太郎さんは!?他の乗り込んでいた人達は!?

「あのテロを起こした連中は倒せた。幻太郎も無事だ。あいつらは買い出し行ってるから、また後で顔出しに来ると思う。」

「そっか…」

とにかく、巻き込まれていないのなら良かった…

「…」

皆の安否が確認できて安心したのはいいけど、それと同時に蘇った2つの喪失感によって言葉が出なくなる…

帝「…その、なんて言えばいいかよくわかんねーんだけど…まだ、諦めるのははえーんじゃねーの?」

「…」

帝「確かに、お前はこの2日で大きなモン失っちまったけどよ…まだ、賭けてもいいと思うんだ!この人生に!!」

「…意味がわからない」

帝統はギャンブルで生きていけてるみたいだけど、私のような奴がそんな生活をしていられるわけが無い。

私には、以前みたいな忙しくも安心できるような生活が送れない人生を生きるつもりは無い。

「…1人にしてくれないかな。今はまだ眠っていたい」

帝「…わかった」

そう言うと、帝統は大人しく病室から出ていってくれた。

「…ゴメンね。」

このまま2人っきりで喋っていたら、きっと縋ってしまうから―

心の中が抉られたような感覚と、それをいとも簡単に満たしてしまいそうなマゼンタを残したまま、私は眠りについた。

満たしてしまいそうな【理鶯】→←脱出口へと



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設定タグ:ヒプノシスマイク , 有栖川帝統 , 毒島メイソン理鶯   
作品ジャンル:恋愛
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ブドウ紙パック(プロフ) - amroさん» コメントとご指摘ありがとうございます!理鶯さん推しにそう言って貰えてとても嬉しいです! (2020年5月11日 11時) (レス) id: 297b771243 (このIDを非表示/違反報告)
amro(プロフ) - 初めましてコメント失礼致します。理鶯推しなのでタイトルに釣られて読んでいたら面白くて一気見してしまいました。描写が分かりやすいため読みやすかったです!更新楽しみにしています!(30pの左馬刻の名字が青棺になってました)応援しています! (2020年5月11日 2時) (レス) id: 18748080be (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ紙パック(プロフ) - 黒髪さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきます! (2020年5月7日 16時) (レス) id: 297b771243 (このIDを非表示/違反報告)
黒髪(プロフ) - この作品とても好きです……更新頑張ってください! (2020年5月7日 16時) (レス) id: 058440bffe (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ紙パック(プロフ) - ハマにハマるさん» ありがとうございます!コロナに負けぬよう頑張って行きましょう! (2020年5月6日 0時) (レス) id: 297b771243 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ブドウ紙パック | 作成日時:2020年4月23日 23時

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