会社にリストラされたらギャンブラーと元海軍に助けられた

やばい事に ページ17

無事に朝を迎えることが出来た私は、山を出る準備を1人テントで整えていた。すっぴんを見られてしまったことやスーツがヨレヨレになってしまっていることには1度目を瞑っておこう…

私と帝統は朝食に理鶯さんお手製のスープで体を温めながら、事前に手配してくれたお仲間さんの迎えを待っていた。

｢…まるで旅行か何かで遊びに来たみたいな感覚だったなぁ。｣

でも今は遊びに来ていた訳ではない。あくまで夜が明けるまでの間避難させて貰っていただけである。

そしてあの二人とはきっとこの先連絡を取ることもないだろうし、きっと会いに行くことすらもないだろう。

そう1人で思っていると、知らない着信音が鳴る。

帝｢ん、わりぃ俺だわ｣

帝統はその場で電話に出る。いやせめてどっか行けよ。

帝｢どちら様…ってお前かよ。珍しく電話なんかよこしてどうしたんだよ。また金の話か？ん？何処にいるかって？今はヨコハマで飯食って……はぁ!!?何だよそれ!!?｣

そう帝統がいきなり叫ぶので、一体何事かと聞いてみると

帝｢…シブヤに帰れねぇ｣

｢はぁ!!?｣

理｢それは一体どう言うことだ。｣

シブヤに…家に帰れない…!?

帝｢シブヤで違法マイクを所持した集団によるテロが起きて、俺やAが居た地域がやばい事になってるらしい。｣

理｢それは…かなり不味いな。何より違法マイクを使用しているとなれば、かなり厄介だ。｣

｢あの…それってどういう…｣

理｢違法マイクというのは、通常のヒプノシスマイク以上に強力なもので、1番の違いはリリックを受けた相手にあらゆる効果をもたらすというところだ。｣

ヒプノシスマイク？リリック？何が何だかさっぱりだ。

帝｢まあ要するに兵器みたいなもんよ｣

｢な、なるほど…？｣

よく分からんが何となく理解した。

帝｢しかし困ったなぁ…このままじゃ賭場に行くどころかAも家に返せねぇぞ…｣

賭場はさておき私が家に帰れないのは困る…

理｢とりあえず、詳細が分かるまではここにいた方が良さそうだ。こんなことにAを巻き込む訳には行かないからな。｣

理鶯さんは優しいなぁ…

理｢仕方がない、彼らには悪いが手配した迎えは取りやめに…｣

そう呟いていると、ガサガサと明らかに何かが近づいてくる音がしてきた。

｢ヒィ！？な、何!!?｣

そう固まっているうちにも音はどんどんと近ずいてくる。

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