【派生作品】アングレカムは境界に咲く【天使様と悪魔様の恋愛事情】 (ページ18)

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白

白暖房のきいた店内は、コートを着たままの私には少し暑すぎるようだった。無意識に顔に風を送ろうと持ちあげた手をやわらかく握られて、また彼女の瞳を覗き込んでしまう。いつのまに見惚れていたのか、私はすっかり無口になっていた。

「…そういえばシェラちゃんはコート、脱がないの？」

白その問いに少し慌ててしまって、薄く汗ばむほどの自分の体温と、触りごごちのよい彼女の指先を感じながら答えを絞り出す。

「えっと……仕事着だから見せられない…です」

白シスター服は敬遠されてしまいそうだと。彼女は奔放そうだから、少しいやだなと思った。そんなに貞淑でも清らかでもないのに、かたちだけで遠ざけられてしまうのは。そう思いながら困った顔をごまかすように笑った。

｢……そう。なら洋服屋さんに行きましょ！｣
きっといい服が見つかるわ！！と笑ったシェリーさんがまぶしくて、あの時なんだかとても幸せになってしまった私がいた。

白短い時間しか一緒に過ごしていないのに、こんなに楽しい思い出をくれた素敵なひと。
それでも悪魔なんだ、彼女は。