【派生作品】アングレカムは境界に咲く【天使様と悪魔様の恋愛事情】 (ページ16)

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あなたの帰途は.シェラページ16

白

白結局、私は二つのぬいぐるみを抱えて家路についた。薄桃色の雲のクッションは、迫る夜闇のフィルターにかけられて少し寂しそうに見える。プレゼント、してあげたかったなぁ……。

白出会ってから、シェリーさんに何かもらってばかりな気がする。今着ている服だって、この前選んでもらった露出度が高いけれどかわいいワンピースだ。さすがに寒いし恥ずかしいかと思って、ブラウスを下に着込んでしまったけれど。

白いつも境界線から天界に帰るときに使う路地裏へと歩を進める。本当はどこか部屋でも借りて、そこから移動すれば目撃の心配も少ないのだろうけれど、境界線に来るのが仕事でもなんでもない今はそれがおっくうなものに思えていた。これからシェリーさんとしょっちゅう会うようになるなら、そうしてもいいかもしれない……なんて、次の約束を思い出して顔がほころんだ。

白次に会う場所は植物園だ。今は冬の始まりということもあってあまり咲いている花は多くないかと思いきや、温室もあるらしい。どんな花をシェリーさんと見られるだろうか。

白まさしく浮き足立ちながら目的地へ向かう途中、ひとけも少なくなった道を街灯がスポットライトのように照らしていた。その光の範囲から少し外れたところに、見覚えのあるひとかげがあった。

白彼女だったら驚かせようと思って、人違いだったら気まずくないようにと足音を殺す。だんだん近づくにつれて、やはりそれが彼女だとわかった。なんて嬉しい偶然。彼女はこのあたりに住んでいるのだろうかと、そんな話もできたらいいなと思って呼びかけようとする。

「シェリーさ──」
届いているかもあやしいなと思う距離と声量で、手をふらりと伸ばした時。彼女の背中に、大きく(・・・)黒い翼(・・・)が生えた(・・・・)。