出来心.シェリー ページ13
*
急に転びそうになった彼女を助ける。
それまではちゃんと、“アタシ”だった。
抱き抱えて彼女を見ると、潤んだ瞳が空のように柔らかく、それでいて海のように深い蒼で、まるでアタシを受け入れてくれるような__。
あどけなく、それでも艶やかに光る丹花の唇はまるで桜のように儚い。
__あぁ。その美しい色に、私の血のように光る唇で触れたい。
そんな衝動に駆られ、彼女を支える手が少しながら強くなる。
……今ここで、こんな馬鹿な真似をしたら彼女に嫌われてしまう。
そんな思考なんて、どっかに置き去ってしまいたい。
彼女の唇に私の深紅を近づける。
決して壊さぬように、そっと。
あと数ミリ動けば彼女は私の口につく血がうつってしまう。
「あッ……!」
そんな時、イベントの放送らしき音声が耳に入った。
私は正気に戻り彼女の方を見やる。
少し戸惑いながらもこの状況を受け入れている様な表情に罪悪感を募らせた。
「……大丈夫だった?」
「…はい。助けてくれてありがとうございます」
「……さ、遊びましょ!アタシ、これで遊びたいの!」
と指さした先はシューティングゲーム。
銃を使い、的に見事的中したら商品を貰える、というものだ。
……その中に青い目をした星のぬいぐるみがある事に気づいているのかしら。
なんて思いながらも、そのゲームに近づいた。
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作者名:しぇるふぃあ。×ルンピカ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shelpla/
作成日時:2020年3月27日 18時