15話 ページ19
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重く、鋭い打撃が陸津を襲う。
流石メイビス長……と心のなかで呟くも、決してそれを表情に表さない。そうしたまま蓬莱の攻撃を受け続け、来るべきチャンスを虎視眈々と狙っていた。
一発、二発、三発…………。
次々と襲う蓬莱からの打撃。回数を増すごとに陸津はあることに気がつき始めた。
「なぁ、蓬莱。もしかして
連続する攻撃は、すべて左側から右側へ。この数発の攻撃でその蓬莱の意図を陸津は完璧に読み取った。
そう、蓬莱はわざと、陸津のことを右側の壁へ寄せようとしていたのだ。
そう言えば麻日奈から受けた報告では、メイビス・ファミリーの長、蓬莱凛が直々に力を振りかざす時は、決まって壁や何かの障害物が多い狭い空間であった。
なるほど、狭い空間が得意分野ねぇ……それなら逆は……？、とそう思った陸津は相変わらずの人を煽る口調で言った。
「苦手だからって、逃げんのかァ？ 蓬莱ィ？」
先程の壁を使った蹴撃。陸津はその蹴撃を避けた。そのとき頭の中でわかったのだ。あの蹴りは蓬莱の必殺技の一つであると。
あらゆる物理法則を総動員させたあの蹴撃は、陸津が攻めるのには大きなチャンスであった。そのチャンスを何度も作り、じわじわと蓬莱を追い詰めていこう、そう思っていたが、蓬莱にはそれが通用しない。拳を避けられ、陸津はそう悟った。
そしてまた、気がついた。
それならば、狭い空間には蓬莱の身体を入れないようにしようと。
笑顔で、淡々と蓬莱を攻める陸津。上にいかないように、いけないように蓬莱を上手く封じ込める。
忘れていたが彼女もまた、一つの組織をまとめる長なのだ。
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