運命167＃ 便箋 ページ43
『おおっと！？ 蓮水、動かない！ 先程のボールによるダメージかー！？』
しゃがみ込んだままのAを一瞥し、鬼道は趙に視線を向けた。
趙も分かっているというように頷いて立ち上がり、選手交代を宣言する。
大人しくベンチに戻り、俯くA。その目はずっと揺れている。
「……」
伝わらなかった。分かってくれなかった。
ずっと、メイビスのみんなを助けるために頑張ってきた。それがAの生き甲斐だった。
しかし、彼らが心の底から、それを拒絶しているのだとしたら。
自分のやってきたことは、なんだったんだ。
「……っ」
違う。違う、違う！
あれはあいつらの本心じゃない。あいつらだって分かってるはずなんだ。イリーナが間違ってるって。まだ、自分の感情に、意志に、気付いていないだけなんだ。でも……。
話しても伝わらなかったんだ。これ以上、何ができる？
あたしは、何をすればいい？
「Aさん。俯いていても何も見えて来ませんよ」
「！」
隣から静かな趙の声が聞こえてきて、Aは顔を上げた。
フィールドで一生懸命に走るメンバーの姿。
声を張り上げる稲森。
そして、一心に指示を飛ばす鬼道の横顔が見える。
「言葉で分かり合えるのなら、この世に争いなんてものはありません」
「……？」
「互いに自分が正しいと思っている。けれど、相手が折れてくれない。話し合いではどうにもならない。さあ、戦いだ、となるわけです」
「……」
初め首を捻っていたAだったが、聞いていくうちに今の自分のことを言われているのだとわかった。
……んだよ。あいつらと戦争でもしろってのか？
「もちろん、戦争なんてこと、本当は起こってはいけない。しかし、世の争い事は本当に全部なくなるべきだと思いますか？ 勝ち負けをつけるものを、本当に排除すべきだと。
誰も傷つけず、言葉のやり取りをする方法を、もうすでにあなたは知っているはずです」
「！ それって」
「そう、スポーツ。サッカーです。思いのこもったボールは、きっと相手に届くはず。サッカーはスポーツであると同時に、思いを伝え合えるものでもあるのです」
ふつふつと。
体に力が湧いてくる。
「さあ、行きましょう。このまっさらな
趙がニヤリと笑うと同時に、Aは立ち上がった。
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杳覇(プロフ) - 初見朧さん» ああああ初見朧ーー！！ ありがとう！！ ああー嬉しいです(T ^ T) トロイメライ発動シーンは私も特にお気に入り箇所なので……！！ 更新頑張ります！ ありがとう！！ (2021年7月9日 20時) (
レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - 遅くなってごめん！続編おめでとう！蓮水ちゃんが初めてトロイメライをやった時最高潮に心が盛り上がってました！更新楽しみにしてます！頑張ってね！ (2021年7月9日 20時) (レス) id: 2aa92eadb7 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 白目黒口さん» しろくろありがとうーー！！ 一応ちゃんと考えてあります……！！ というかまたシュートのとこからの引用になっちゃうんだけど(汗) ありがとねー！ 更新頑張ります！！ (2021年7月4日 18時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
白目黒口(プロフ) - 続編おめでとうー！(本当にあるのかは置いておいて)トロイメライ の仕組みがどうなってるのか不思議っす……！更新頑張ってください！！！！！ (2021年7月4日 17時) (レス) id: c29c1a0e83 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 蒼乃さん» はっっっや！！？ 蒼乃ありがとう……！！ トロイメライ、れん作者共々めちゃめちゃ頑張ってたので盛り上がって貰えて嬉しいです！！ そこね、とにかくれんの成長が書きたかったんだ……！ 伝わってて良かった……！！ 更新頑張りますっ！！ (2021年7月4日 17時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杳覇 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec4/
作成日時：2021年7月4日 17時
