19話 忘れられない想い ページ29
『……拓人は、前に一度だけ僕からボールを奪ったことがあったな』
「……はい」
覚えている。忘れられる訳がない。
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「Aさん！ 今日もお願いします！」
『また？ ふふっ、懲りないね。いいよ、おいで』
Aさんと会うたびに、練習後に特訓に付き合ってもらった。
Aさんからボールを奪い、抜くことが出来るか否か。
一年生の冬のその日まで、一度として成功はしなかった。
「はあっ！」
『よっ』
雪のちらつく日だったと思う。
この人と戦っている時は、白鷺と戦っている時は、フィフスセクターのことなんか忘れて楽しくサッカーが出来た。
『……そろそろ遅いよ。疲れてきただろうし、今日は──』
「いいえ、俺は大丈夫ですっ」
呼吸を整え、目の前の巫女に集中した。
見た目こそ小さくて美しい鳥のようだが、プレイヤーとなれば彼女は獅子へと変貌する。
集中だ。今日こそ、今日こそは。
「はあああっ！！」
『！ ふっ』
「っ！」
突っ込むが、ひらりとかわされた。
ボールが眼前を通り、後方へ流れる。
だが。
「まだだ！！」
『！』
左足を後ろへ振り上げる。
当たった感触が確かにあった。
「絶対に、諦めない！！」
『……！』
体勢を崩しながらも、何とかボールを自分の足元へ蹴り戻した。
しかし、勢い余ってつんのめる。
「わわっ」
どてっ。らしくない音を立て、俺は地面に倒れ込んだ。
そのまま暫し茫然とする。
Aさんは抜けなかったけど……抜けなかったけど。
『やったな』
「！」
目の前に差し出される手。
顔を上げると、憧れのその人が笑っていた。
『遂に、僕からボールを奪ったな！』
「……！！」
やった。取れた。
Aさんから、ボールを奪えたんだ！
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『だが、今のお前じゃボールに触れることも出来ない。何故だか分かるか？』
黙り込んだ俺に、Aさんは言い放つ。
『今すぐに叫び出したい言葉が、お前の中に疼いているからだ！』
「……！」
ハッとして顔を上げると、Aさんは優しく微笑む。
『思いっきりぶつけてみろ。それを受け止めてくれる仲間にな』
「！」
Aさんが体をずらした、その後ろ。
松風と西園が、目を輝かせたまま立っていた。
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杳覇(プロフ) - 初見朧さん» いやいやこちらこそ！書いてくれてほんっとうにありがとおおおおおおおおう！！！(大丈夫、私も初見朧のイラストもらった時ニヤニヤが止まらんかった) テスト終わった！(双方の意味で)滅びればいいのに！！！ テストがんばってねー！！ (2020年10月9日 19時) (
レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - 紹介してくれてありがとう！いや〜、いざこうやって書かれるととても嬉しい(クッソにやにやしてます)(気持ち悪い)ああああ私もテストが近い！嫌だ！滅びればいいのに！((お互い頑張ろー！ (2020年9月15日 20時) (レス) id: 539b906aee (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - オムライス(＾ω＾)さん» 嬉しかった！！ありがとう！ありがとう！！ここまで続けて来られたのはオムちゃんのおかげです！！ ぎゃーいいの！？いいの！！？めっちゃ楽しみにしてます……！！(こちらこそ長文失礼しました！) (2020年9月9日 5時) (レス) id: 8682462ce1 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - オムちゃあああああんありがふううううう！！ええええ全然無理しないで！？そりゃ来たらめちゃくちゃ嬉しいけどぜひぜひ部活の方をご優先して…！！ そ、そうなのか…！そんなすごいタイミングで読んでもらえて嬉しいです……！！私も、いっぱい描いてもらえて本当に (2020年9月9日 5時) (レス) id: 8682462ce1 (このIDを非表示/違反報告)
オムライス(＾ω＾)(プロフ) - （まだ続くよごめんね）くらちゃんと出会うきっかけになった天空の巫女三周年！本当におめでたい！遅刻という形になっちゃうけどまたイラスト描いたら送らせてもらうね！！改めて三周年&東雲ちゃんおたおめ！！（長文失礼しました！！） (2020年9月8日 23時) (レス) id: ee2c875216 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杳覇 | 作成日時：2020年7月25日 21時
