18話 プレイヤーなら ページ28
ユニフォームに袖を通し、まだ肌寒いからとジャージを羽織って河川敷に走ると、Aさんは既に来ていた。
ほのかな灯を放つ時計を見上げると、約束の時間から20分も遅れていた。いつもの俺ならあり得ない。
背を向けていたAさんは、俺が階段を降りてくる足音に気付いたのか、振り返ってフッと微笑んだ。
『来たね』
「……遅れてしまってすみません」
『いいよ。お客さんでも来てたんだろ』
辺りはもう暗くなり始めており、数メートル先にいるAさんの顔も見え辛かった。
黄昏時。今日の国語の授業で、先生の言っていた言葉が蘇る。本来は誰そ彼時。目の前にいる相手が、誰だか分からなくなるような時間だから、この呼び名。
風に揺れるAさんの前髪から見える、青い瞳。
それは今まで見てきた優しいものではなく、この上なく真剣で、隙を見せたら貫かれそうな光を湛えていた。
「……話って、俺の退部の件ですよね」
『ううん。違うよ』
「え？」
瞬間、Aさんの手からパシュッとサッカーボールが放たれた。
「！」
反射的にキャッチする。蹴った訳じゃないし、両手でバスケットボールのパスのように放ったのに、ズシッと来た。
そうだ。この人、大抵のスポーツは出来る人だった。
『僕はここに、サッカーをやりに来たんだよ』
「……」
『さ、拓人。サッカーやろうぜ？』
「……分かりました」
サッカープレイヤーなら、ボールで語れってことですね。
ゴクッと息を飲み、前方にひしひしと感じられるプレッシャーに向かって駆け出した。
喉が焼けるほど息が熱い。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ……」
長袖のジャージなんてとっくに脱ぎ捨てた。かれこれ30分は続けてると思うが、正確な時間は分からない。
気にしている余裕がない。
『立て、拓人。明らかに集中出来ていないぞ。もう一度』
「……っは……はい」
よろめきながら立ち上がり、Aさんを見据えた。
息一つ乱れていない。対して俺は、立っているのがやっとなほど体力を使い切っていた。
ここまで違うのか。Aさんとの実力の差は。
一発目でボールを奪われてから、一度も奪えていない。
どころか、触れられてすらいない。
Aさんは今の位置から、一歩も動いていないというのに。
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杳覇(プロフ) - 初見朧さん» いやいやこちらこそ！書いてくれてほんっとうにありがとおおおおおおおおう！！！(大丈夫、私も初見朧のイラストもらった時ニヤニヤが止まらんかった) テスト終わった！(双方の意味で)滅びればいいのに！！！ テストがんばってねー！！ (2020年10月9日 19時) (
レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - 紹介してくれてありがとう！いや〜、いざこうやって書かれるととても嬉しい(クッソにやにやしてます)(気持ち悪い)ああああ私もテストが近い！嫌だ！滅びればいいのに！((お互い頑張ろー！ (2020年9月15日 20時) (レス) id: 539b906aee (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - オムライス(＾ω＾)さん» 嬉しかった！！ありがとう！ありがとう！！ここまで続けて来られたのはオムちゃんのおかげです！！ ぎゃーいいの！？いいの！！？めっちゃ楽しみにしてます……！！(こちらこそ長文失礼しました！) (2020年9月9日 5時) (レス) id: 8682462ce1 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - オムちゃあああああんありがふううううう！！ええええ全然無理しないで！？そりゃ来たらめちゃくちゃ嬉しいけどぜひぜひ部活の方をご優先して…！！ そ、そうなのか…！そんなすごいタイミングで読んでもらえて嬉しいです……！！私も、いっぱい描いてもらえて本当に (2020年9月9日 5時) (レス) id: 8682462ce1 (このIDを非表示/違反報告)
オムライス(＾ω＾)(プロフ) - （まだ続くよごめんね）くらちゃんと出会うきっかけになった天空の巫女三周年！本当におめでたい！遅刻という形になっちゃうけどまたイラスト描いたら送らせてもらうね！！改めて三周年&東雲ちゃんおたおめ！！（長文失礼しました！！） (2020年9月8日 23時) (レス) id: ee2c875216 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杳覇 | 作成日時：2020年7月25日 21時
