命令73＃ それで良かった ページ29
ベンチを蹴り飛ばす灰崎。
止めにかかった剛陣は、何故か殴られた。
「っ鉄之助さん……！」
「っお？A……心配すんなって。俺は大丈夫だ」
「……すみません」
僕の所為で……とAが続けると、ニッと笑って頭を撫でる。
そして剛陣は、Aの瞳に涙が溜まっていることに気が付いた。
「お、おい……A」
「……っ」
Aは歯を食いしばって堪えた。
他に方法はなかったのか。一星と鬼道、どちらかしか守れなかったのか。
二人と共にサッカーをすることは出来なかったのか。
「っ………有人さん……っ」
「「……」」
奥歯の隙間から、声が絞り出される。
Aの悔しさは、虚しさは、その場にいる全員が感じていた。
……いつまでも、重い沈黙が流れていた。
Aside
その日から、イナズマジャパン内の空気は一変した。
充さんに話しかける人はいなくなった。充さんは、他のメンバーから距離を置かれるようになっていた。
……僕以外からは。
「充さん、お隣良いですか？」
「！」
「「！？」」
食事の時、僕はそう充さんに話しかけた。
ギロリ。充さんに睨まれる。背後からの皆さんの視線も痛い。
けれど、構うことなく、僕は充さんの隣に座って食事をとった。
「充さん、パス練一緒にやってくれませんか？」
「おはようございます、充さん」
「今日は涼しくて良いですね」
「……なんで俺に話しかけるんですか」
無視されても、ずっと話しかけ続けていたら、遂にそう聞かれた。
久しぶりに聞いたような気がする、充さんの声。
僕が充さんに話しかけるから、他の皆さんは僕にも近付かなくなっていた。というより、僕に近付く機会がないのだ。
同室のお二人とは結構話す。けど、充さんのことはタブーになっていた。暗黙のルールというやつだ。
「仲間じゃないですか。僕達」
「……後悔しますよ」
「しませんよ」
屈託なくそう言えば、そんな答えが返ってきた。
笑いかければ、チッと舌打ちされる。
けれど、それで良かった。
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杳覇(プロフ) - 陽菜さん» コメントありがとうございます！ どの辺りまでご覧になったのか存じ上げないのでネタバレになってしまったらすみません。今作の命令91でバラしています。 (2020年8月24日 20時) (
レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
陽菜 - みんな女の子だって知ってるの？ (2020年8月24日 19時) (レス) id: 0dcd5b296d (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初見朧さん» ありがとーう！！ええ凄いまだ見てくれていたの！？とっくに見放されていたかと……(( ありがとう！！更新ｏ(･д´･+)ゞ頑張ﾘﾏｯｽ♪ (2020年4月14日 17時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - りのくさん» りのく様ー！！ありがとうございます！！詳しくご感想頂き感激です…！！ そこです！漸く蓬莱ちゃんが女の子になったので、ヒロトくんには「後輩」ではなく「異性」として蓬莱ちゃんに接して貰います…！！ご期待ください！ 本当にありがとうございます(T ^ T) (2020年4月14日 17時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 氷浦メグさん» そうなのですね！時間が出来たらぜひ見に行きます！！お力になれたのなら幸いです＾＾ (2020年4月14日 17時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杳覇 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec2/
作成日時：2020年3月23日 10時
