第302話 バカだな ページ31
「Aのメシ、片付けとけ」と、不動は動けなくなっている風丸の横をすり抜け、風丸が歩いてきた道を引き返して行った。
不動の足音が聞こえなくなると、途端に膝が笑い出し、風丸は床に崩れ込む。
「(──そこまで、考えていたのか)」
負けないと思っていた。
たとえ美麻が不動を選ぼうと、美麻への想いの大きさは、不動に負けていないと思っていた。
……だが、あの時。
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「──そんなに辛いなら……俺にしろよ」
『……？』
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俺は、Aのことを考えていたか？
自分の気持ちを抑えきれずに、ただぶつけただけじゃないのか？
それでAが苦しむと分かっていて……。
「……っ」
バカだな、俺。
風丸は、ゆっくりと拳を握りしめた。
唇を噛んで堪えようとする。が、目に溜まったものは次々に溢れ出し、木で出来た床に染みを作る。
「……っう……ふっ……っく」
最初から、俺に勝ち目なんて無かったんだ。
不動のあの大きすぎる愛を前にして、立つことも出来ない。
あいつは、不動は、とんでもないほどの覚悟を持って、Aのことを心から愛しているんだ。
あいつの体の半分は……Aなんだ。
今更思い知るなんて。
「……っあ、ああ……っ」
誰もいない、静まり返った廊下で。
風丸は一人、辛うじて嗚咽を堪えながら、泣いた。
「……」
その頃不動は、美麻の部屋を訪れていた。
開いたカーテンから、月明かりが洩れて彼女の白い頬を照らす。
不動はそんな彼女の傍にしゃがみ込み、彼女をじっと見つめた。
ツッ、と一筋の涙が、美麻の閉じられたひとみから零れ落ちる。
不動はそれを親指で拭い、目を伏せた。
「……悪い、A……お前を傷付けたくはねえのに……」
知らず知らずのうちに、唇を噛み締めている。
「いつか必ず……迎えに行くから」
小さな声でそう呟き、不動はそっと、美麻の髪に口付けを落とした。
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杳覇(プロフ) - 蒼乃さん» うわあああまただ！！ごめん！！すぐ書き直してきます！！ (2020年3月15日 18時) (
レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 鈴苺 （ﾚｲﾒｲ）さん» 本当にありがとうございます(泣)よろしくお願いします！！ (2020年3月15日 18時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃(プロフ) - 311話の「一之瀬とビリーいとも簡単に」って、「一之瀬とビリーをいとも簡単に」じゃないかな？間違ってたり、わざとそうしてたんだったらごめん！！ (2020年3月15日 18時) (レス) id: c9e288890e (このIDを非表示/違反報告)
鈴苺 （ﾚｲﾒｲ）(プロフ) - いえいえ、全然大丈夫です！下手ですが、描かせていただきます！！ありがとうございます！！ (2020年3月13日 18時) (レス) id: 8922abe964 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 蒼乃さん» 良かったぁ〜、不動さんのイケメンさはこだわったもので……！！モヒカンのくせに(笑) うわああああごめん！！ありがとう！！すぐ直します！助かった！！ (2020年3月9日 15時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杳覇 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec2/
作成日時：2020年2月16日 19時
