第297話 雨の日と停電 ページ24
コンコンコン。
『ひゃっ！？…は、はい！』
「おー。入るぜ」
『ぅえっ！？』
不意打ちのノックに肩を縮こませ、入ってきた人物を見て更に寿命を縮めた。
『あ、明王！？』
「……な、何だよ。ビビらすな……」
『や、だって……』
まさか、こんなピンポイントにくるなんて。
噂をすればなんとやら……は、心の中で言ったことも含まれるのかしら。
『……どうしたの？』
「おう。アメリカ戦のフォーメーションについてなんだけどよお」
明王はズカズカと入り込み、椅子に座っている私の隣で前屈みになった。
机の上に広げた紙に、簡単なサッカーコートを描く。
ちょ、ちょっと待って。顔、近くない？
ぶわわわっと顔が熱くなる私に、多分明王は気付いていない。
それに、なんで戦術の話を私にしたんだろう。
「で、こいつらをだな……何だよ？」
『う、ううんっ。……なんで、そんなこと私に話すのかなって思っただけ』
「ああ？」
『戦術の話なら、監督や有人の方が……』
言いかけると、明王は珍しくばつが悪そうな表情になった。
体を起こし、後頭部を掻く。
「カントクには何となく話しずれーし、鬼道に相談すんのとか俺のキャラじゃねえだろ」
『……ええ、確かに』
「お前が……一番相談しやすかった」
『！』
サッと顔を赤らめて、チッと舌打ちする明王。
それって、私のを一番近くにいる存在だって認めてくれてるってこと？
心に温かいものが湧き上がってきて、抑えられなくなりそう。
二人の間に沈黙が流れた、その時だった。
「『──！？』」
突如、視界が闇に染まった。明王の顔も見えなくなる。
電気が突然消えたのだ。
外の雨の音が、やけにうるさく聞こえてくる。
「停電か！？」
『待って！部屋の隅に非常灯が……痛っ』
「バカ！今動くんじゃねえ！」
『大丈夫よ、って、きゃ！』
「うおっ、危ねえ！」
床に巻き散らかされた模擬コートのプリントで足を滑らせる。
思わず、手に当たったものを握って一緒に倒れた。
しかし痛みはさほど無く、背中から後頭部に回る温かい腕の感触だけが感じられる。
パッと、電気が復旧した。
私の右手は、明王の胸ぐらを掴んでいた。
明王がその腕で私を支えてくれていなかったら、ベッドの角で頭をぶつけていたかも知れない。
鼻が触れ合わんばかりの距離に、明王の顔があった。
その目を見ている内に、自然と唇が動く。
『──私、明王が好き』
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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杳覇(プロフ) - 蒼乃さん» うわあああまただ！！ごめん！！すぐ書き直してきます！！ (2020年3月15日 18時) (
レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 鈴苺 （ﾚｲﾒｲ）さん» 本当にありがとうございます(泣)よろしくお願いします！！ (2020年3月15日 18時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃(プロフ) - 311話の「一之瀬とビリーいとも簡単に」って、「一之瀬とビリーをいとも簡単に」じゃないかな？間違ってたり、わざとそうしてたんだったらごめん！！ (2020年3月15日 18時) (レス) id: c9e288890e (このIDを非表示/違反報告)
鈴苺 （ﾚｲﾒｲ）(プロフ) - いえいえ、全然大丈夫です！下手ですが、描かせていただきます！！ありがとうございます！！ (2020年3月13日 18時) (レス) id: 8922abe964 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 蒼乃さん» 良かったぁ〜、不動さんのイケメンさはこだわったもので……！！モヒカンのくせに(笑) うわああああごめん！！ありがとう！！すぐ直します！助かった！！ (2020年3月9日 15時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杳覇 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec2/
作成日時：2020年2月16日 19時
