祝！第290話 君に会うために ページ17
連れてこられたのは、海岸沿いに建てられていた灯台。
鍵が開いていて、誰でも上に上がれるようになっているところを見ると、展望台の役割も兼ねているのかも知れない。
頂上から見渡すと、丁度夕日が沈むところで、海も街並みも茜色に染まっていた。
『わぁ……綺麗ね』
「でしょう？リハビリの休憩中に、頑張って調べたんだ」
『へえ……』
柔らかな向かい風が、髪を揺らす。
そのまま眺めていると、士郎はキョトンとした表情になった。
「小説の資料は撮らないの？」
『え？あぁ……』
振り返ると、士郎の顔が夕陽に照らされて赤くなっている。
心底不思議そうな彼に、微笑んで見せた。
『今は士郎といるもの。ここにいる間、この景色は何度でも見られる。でも、士郎と二人で見られることなんてきっと何度もないわ』
「！」
『だから、今日は士郎との景色を楽しむ』
そう言って、また景色に目を向けた。
東の空はもう暗くなりかけている。もうすぐ夜がやってくる。
……士郎は、ゆっくりと微笑んだ。
「Aちゃん。僕がここを調べてたのはね、君に伝えるためなんだ」
『伝える？』
「……君にまた会うために、辛いリハビリを乗り越えてここまで来た。君ともう一度戦いたくて、必死で特訓した」
『！』
夕日が沈む。
士郎の背後を光が照らし、士郎が陰った。
士郎は、真剣な顔をしていた。
「Aちゃんが好きです。僕と、お付き合いして下さい」
『！！』
ドクンッ。心臓が強く脈打った。
ザアッと風が吹き上がる。
それでも私は、一ミリも動けなかった。
『……っ』
何か言いたいのに、言葉が出てこない。
息が詰まった。心臓がうるさい。
ああ、目眩までしてきたわ。
「……ごめん。困らせたね」
士郎は視線をずらすと、少し笑った。
「返事は今じゃなくていいんだ。良かったら……ゆっくり考えて欲しい」
『……ええ』
士郎に続いて、灯台から降りる。
先を行く士郎の背中を見つめ、私は唇をひき結んだ。
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杳覇(プロフ) - 蒼乃さん» うわあああまただ！！ごめん！！すぐ書き直してきます！！ (2020年3月15日 18時) (
レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 鈴苺 （ﾚｲﾒｲ）さん» 本当にありがとうございます(泣)よろしくお願いします！！ (2020年3月15日 18時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃(プロフ) - 311話の「一之瀬とビリーいとも簡単に」って、「一之瀬とビリーをいとも簡単に」じゃないかな？間違ってたり、わざとそうしてたんだったらごめん！！ (2020年3月15日 18時) (レス) id: c9e288890e (このIDを非表示/違反報告)
鈴苺 （ﾚｲﾒｲ）(プロフ) - いえいえ、全然大丈夫です！下手ですが、描かせていただきます！！ありがとうございます！！ (2020年3月13日 18時) (レス) id: 8922abe964 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 蒼乃さん» 良かったぁ〜、不動さんのイケメンさはこだわったもので……！！モヒカンのくせに(笑) うわああああごめん！！ありがとう！！すぐ直します！助かった！！ (2020年3月9日 15時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杳覇 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec2/
作成日時：2020年2月16日 19時
