第286話 美麻の推理 ページ13
『……っ待ってください！』
見た瞬間走り出していた。
ゆっくり振り向いたその人に、声を窄めて訴える。
『久遠監督っ……』
「……」
『……冬花に、何があるんですか』
「……怖い夢を見ただけだろう」
『いいえ、違います』
しらばっくれる監督にきっぱりと言った。
監督が瞳の奥に苦い色を隠してこちらを見下ろしてくる。
『冬花のあの感じ……記憶喪失に似ています』
「……何故知っている」
『以前、そんな子を書いたことがありましたので。……あれは、失った記憶が取り戻されようとしている状態。違いますか』
「……」
『……はぁ』
尚も答えない監督に、ついため息が出る。
本当はここまで踏み込むつもりはなかったんだけれど。
監督が何も言ってくれないなら、仕方ない。
『……冬花の様子からすると、記憶を失ったのはかなり前と見ていい。そして、冬花は記憶を失っていることに気付いていない。
私の憶測が正しければ、冬花は何かのショックで記憶を失ったんじゃなく、第三者の手によって記憶を奪われた』
「！」
『伊達に推理もの書いてませんよ。……何があったんですか』
鋭い口調で監督に詰め寄る。
疲れていたから、なんて言ったけど、実際はきっと違う。
今まで何も聞かずにいたけれど、あそこまで苦しんでいる冬花を放っておけない。
……監督はそれでもしばらく黙り込んでいたが、私の視線に根負けしたのか、ため息をついて口を開いた。
監督は教えてくれた。冬花の失った記憶のこと。
冬花は両親を事故で失い、そのショックで植物状態となってしまった。
食事も取れず、このままでは冬花は死んでしまう。……いいえ、もう心は死んでいた。
そんな彼女に、監督がやむなく取った方法が、催眠療法だった。
今までの記憶を全部失わせる方法。事故のことを忘れ、第二の人生を歩ませる方法だった。
そうして、記憶を手放し、目覚めた彼女に、当時彼女の担任だった監督は〈父親〉だと名乗った。
冬花の過去を、全て一人で背負うために。
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杳覇(プロフ) - 蒼乃さん» うわあああまただ！！ごめん！！すぐ書き直してきます！！ (2020年3月15日 18時) (
レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 鈴苺 （ﾚｲﾒｲ）さん» 本当にありがとうございます(泣)よろしくお願いします！！ (2020年3月15日 18時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃(プロフ) - 311話の「一之瀬とビリーいとも簡単に」って、「一之瀬とビリーをいとも簡単に」じゃないかな？間違ってたり、わざとそうしてたんだったらごめん！！ (2020年3月15日 18時) (レス) id: c9e288890e (このIDを非表示/違反報告)
鈴苺 （ﾚｲﾒｲ）(プロフ) - いえいえ、全然大丈夫です！下手ですが、描かせていただきます！！ありがとうございます！！ (2020年3月13日 18時) (レス) id: 8922abe964 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 蒼乃さん» 良かったぁ〜、不動さんのイケメンさはこだわったもので……！！モヒカンのくせに(笑) うわああああごめん！！ありがとう！！すぐ直します！助かった！！ (2020年3月9日 15時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杳覇 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec2/
作成日時：2020年2月16日 19時
