508話 朗報 ページ24
ドンッ。
『んっ……！』
片腕を壁に叩きつけられ、東雲が呻く。
普段の彼ならすぐに引き下がるところだが、豪炎寺は打ち付けた東雲の手首をしっかりと握っている。
「お前は一体何を隠している!?」
少し怯えた様子だった彼女に容赦なく怒鳴った。
黒い瞳が、東雲の胸中を探っている。
鬼道を追い払ったのは、東雲の本当の声を聞くため。
人間とは不思議なもので、相手は二人より一人の方が、ずっと口を開きやすいのだ。
しかし東雲は、そんな彼の燃えるような瞳から逃げるように視線を逸らした。
『……別に？何もないよ。言っただろ？今までの事は全てお遊びだったと』
「ッ！」
逃げようとする東雲に、豪炎寺は奥歯を噛み締めた。
怒りに任せ、胸倉を掴む。
驚いている東雲を睨め付けた。
「円堂が‼……円堂が今、どんな目をしているか知ってるか⁉どんな思いで、窓の外を見ているか知ってるのか⁉お前は、どれだけあいつを傷つければ気が済むんだ‼」
怒鳴り付ける。東雲の瞳が揺らいでいる。
豪炎寺は泣き出しそうな、悲しげな目をしていた。
そして、掴んでいた手を乱暴に離した。
『いっ……！』
東雲は呆気なくその場に尻餅をついた。
コンクリートの地面に転がって、彼女は恐る恐る豪炎寺の顔を覗き込む。
豪炎寺は、冷たい目をしていた。
「……お前がそんな奴だとは思わなかった」
そう吐き捨て、豪炎寺は立ち去った。
怒鳴り声が聞こえたと思ったら、有無を言わさぬ様子で出てきた豪炎寺に「帰るぞ」と言われ、文句を言うのも憚れて、鬼道も無言でついて行く。
残された東雲は、やけに煩く聞こえる雨の中、ポツリと呟いた。
『僕……これでいいんだよね……？本当に……』
……東雲の呟きを聞いていたガルシルドは、一人静かにほくそ笑む。
東雲が、ニヤリと微笑んだ事にも気付かずに。
暫くして、東雲のいる角が見えなくなった頃、鬼道はそっと口を開いた。
「お、おい、豪炎寺？」
「……
「何？」
さっきの様子を見る限り、ちっとも朗報ではなさそうだったのだが。
先程までの冷酷な表情とは打って変わって、豪炎寺は顔を綻ばせて振り返った。
「Aは裏切ってなどいない」
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
塔子の帽子
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Vermut(プロフ) - サッカーバカさん» ふあああっ、ありがとうございます…！！頑張ります！！ ですよね！一息くらい良いですよね！！凄く力になりました！ありがとうございました！！ (2019年11月26日 17時) (
レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
サッカーバカ(プロフ) - Vermutさん» ありゃ、そうだったんですか…！でも、いいんです、やりたい時に更新やってください！！！！一息ぐらいいいじゃないですか。何かあろうと、やりたいこと曲げちゃダメです！私は曲げられても鋼の精神で曲げ返しましたから笑 頑張ってください！！！！ (2019年11月26日 17時) (レス) id: 7487ed3f06 (このIDを非表示/違反報告)
Vermut(プロフ) - サッカーバカさん» ふえっ…ありがとうございます……！！それとホント申し訳ありません……高校の事じゃなくて、更新再開を親に止められてるんです……私の書き方が紛らわしくてほんっとごめんなさい……。お気持ちは物凄く嬉しいです！！ありがとうございます！！ (2019年11月26日 17時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
サッカーバカ(プロフ) - 受験校は自分が行きたいところへ！！！！！親に言ってやりなさい！「私が決めた学校だから、私が行くって決めた！親が行くわけでもない！自分の意思で行く！」って！私は、行きたい学校よりも、親に言われた学校に行ったので、Vermutさんは、行きたい学校へ！ (2019年11月26日 17時) (レス) id: 7487ed3f06 (このIDを非表示/違反報告)
Vermut(プロフ) - ゆいチップスさん» ありがとうございます！帰還ですよおおようやく！！ 受験勉強頑張ります！ありがとうございました！！ (2019年10月27日 8時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Vermut | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec2/
作成日時：2019年8月22日 9時
