第7話 不動明王 ページ10
「…へーえ？」
私が答えると、不動は更に笑みを深くする。
何となくｲﾗｯとして目を逸らし、口早に話した。
『もう良い？響木さんに呼ばれてるの』
返事を聞く前に走り出した。
あのままあそこにいれば、面倒くさい事になりそうだったからだ。
「……あいつ……」
Aが立ち去ったベンチの側で、不動はﾎﾞｿｯと呟いた。
『……お待たせしました』
「おう」
響木さんと一緒に歩き出す。
ここから雷雷軒だとすれば、そう遠くない筈だ。
「……不動と話していた様だな。アイツの事をどう思った？」
『……サッカーの腕が良いのは分かります。また、周りをちゃんと見ていた上に頭もキレていて、日本代表には必要となって来るでしょう』
ただ…と、言葉を繋げる。
『アイツはわざと人を挑発する様な言動をしています。だから、言っていることが正しくても理解されない。
それにあの笑みが……私は苦手です』
「……そうか」
どこかあの人に似ているから。
その後は暫し沈黙が続いた。
破ったのは、又もや響木さんだった。
「…だがな美麻。アイツの言動には、ちゃんとワケがあるんだ」
『ワケ？何か過去が関係していたりするんですか？』
私が言うと、驚いた様にコッチを見たのが分かる。
私はその視線を受けてもなお、前を見たまま歩いていた。
「…何故分かった」
『伊達に小説家やってませんから。で、その過去って何ですか？』
「ああ……」
響木さんは視線を前に戻し、話し始める。
それを聞いた私の瞳は、大きく見開かれていた事だろう。
父親が不当に会社を辞めさせられ、借金取りに追われる様になった事。
そんな父親を否定した母親に「偉くなって人を見返せ」と言われた事。
そのせいで性格が歪んでしまい、あんなプレーをする様になった事。
私は、歩き始めてから数分、初めて響木さんを見た。
「…もう一度問う。アイツの事をどう思った？」
『……』
私は、答えることが出来なかった。
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杳覇(プロフ) - 鈴苺 （ﾚｲﾒｲ）さん» コメントありがとうございます！ うきゃーありがとうございます！！嬉しいです(〃ω〃)更新頑張ります！！ (2020年3月5日 13時) (
レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
鈴苺 （ﾚｲﾒｲ）(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです！ (2020年3月5日 12時) (レス) id: 8922abe964 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - きららさん» うぎゃああホントだ！ごめんなさいすみません！！すぐ直します！！ ありがとうございます(T ^ T) (2020年2月27日 21時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
きらら(プロフ) - 杳覇さん» 第13話の「奇数な為、」という所からの行です。これからも頑張ってください！ (2020年2月27日 21時) (レス) id: 36a6836253 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - きららさん» きらら様！ご教授ありがとうございます。すみません…！！もし宜しければ、何話か教えて頂けませんか…？ (2020年2月27日 20時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Vermut x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec2/
作成日時：2018年5月22日 15時
