恋じゃ君を掴めない。 Ⅱ (ページ24)

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「ゆう、と？」

『…ん？』

「え、と…」

怖くなってその度に彼のほっぺに

手を添えてしまう悪い癖。

こっちを見る優斗は、いつも瞳を元に戻す。

戸惑って言葉に詰まる私をいつもそっと目隠しして

まーた余計な事考えてる、なんて眉を下げるんだ。

そして、そのまま肩に腕を回して

「っ、…」

『そろそろ慣れてくれてもいいのに(笑)』

ちゅっ、と触れるだけのキスをくれる。

離れる直前、一度ぐっと肩をつかむ手のひらに

力がこもるのは

彼の癖みたいなものなのかな。

ぼーっと考えていれば

ほっぺをむにっと摘ままれて

俺に集中してくれません？なんて彼は笑う。

外のちょうどいい温かさも手伝って

今のこの空間がすごく心地いい。

そっと彼の肩に頭を預けると

少しぎこちない手つきで

優しく頭をなでられた。

好き。

確かにそう思うのに、声に出せない。

『…もっとこっち向いて』

「へ…？」

『んーん、独り言』

ふいっと私から視線を外すと

優斗は携帯に目を向けて

何度かスクロールさせた画面を私に見せてくれた。

そこに映し出されていたのは

少し遠い場所にあるカフェやデートスポット。

彼のほうを見ると、どう？なんて

首をかしげてこちらをうかがってくる。

『…行きたい？』

「うん！調べてくれたの？？」

『ちょっとね(笑)』

すこし自慢げに口角を上げると

ここはね…と流ちょうに話しだす。

そんな彼の話を聞きながら

うれしそうな横顔を見ていると

私までうれしくなった。

今週の日曜日行こうよ、と言ってくれた彼に頷いて

手帳にすぐ書き込んだ。

…私、なんで、気付かなかったのかなあ。

このときちゃんと、気付いてたらよかったのに。

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