【対面】 ページ7
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案外…清川は爽やかな風貌をした男だった。
身長は高く顔も整っており、肌は白く髪の毛も少し遊んでいて全くと言っていいほど“ヤクザ”とは結び付きのなさそうな容姿だ。
ましてやその組のトップだなんて。
「…大丈夫?」
『…え、あ…大丈夫で…大丈夫よ、』
清川はいきなり私にそう問いかけた。
思わず出そうになる敬語を抑えてこの場にあった言葉を放つ。
「ならよかった。あんた新顔っぽいしここがこんな治安の悪いカジノだと思われたら俺も分が悪いからさ」
『普段はもっと落ち着いてると?』
「まあな、俺の経営するこの場所で暴れるやつなんて無知か恥知らずなやつだけだろ」
『…あの、“清川”さんだもんね』
私がそう言うと、彼は怪しげにニヤッと笑ったのちに「ああ」とだけ返した。
「あんた…恐れ知らずか」
『どういうこと?』
「普通こんな会話成立することないんだけどな、みんなビビって肯定しかしねえ」
しまった、キャラの作りを少し間違えたか。と考えるがそんな不安も無駄だったようだ。
「ちょっと飲んでいかねえ?さっきの詫び。あとまともに話せるのあんたくらいだからな」
接近するチャンスだ。私は固唾を飲み込み、その言葉に頷いた。
「こっち、バーあるから」
彼はGMに軽く会釈した後、私をバーへと案内した。
何を問うべきか。深いことを聞くにはまず…親密になるのが先決だろう。
『おしゃれなところね』
「俺のお気に入りの場所なんだ」
へへ、と彼は無邪気に笑う。
この人、本当にヤクザの頭?
2人でカウンター席につく。
高くて地に足がつかないこの椅子はバー特有のもので、全く落ち着かない。
まあ、この状況で落ち着くことはありえないだろう
「おすすめのお酒2つ出して。度数は弱めで」
「かしこまりました」
バーテンダーは清川の願いを聞くと直ぐにお酒を作り出す。
初めてのバーがここなんて…、ソワソワしながらもその手さばきに見惚れてしまう。
『お酒、好きなの?』
「嗜む程度かな、オシャレな酒とかは全然わかんねえ」
清川は恥ずかしそうに笑った。
「…名前は?」
『私の名前?…A』
「A、Aね。わかった」
『あなたは清川…』
「キヨでいいよ。仲良いヤツらはそう呼ぶから」
『キヨ、ね』
呼び名を決めたところでタイミングよく可愛らしいカクテルが2つ目の前に置かれる。
「ありがと
じゃあ…乾杯」
『乾杯』
1口だけカクテルを口に含む。
『このカジノはいつでもやってるの?』
「そうだよ。だからいつでも俺に会いに来い」
『そうね、』
冗談っぽく言うこの彼が悪い人だとは、到底思えなかった。
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さんご(プロフ) - 恋のぼりさん» ありがとうございます〜!久々に更新させていただきました…(笑)最新話も楽しんでいただけたら嬉しいです💓 (2022年11月12日 17時) (レス) id: 435cdb899d (このIDを非表示/違反報告)
恋のぼり(プロフ) - わわ〜こちらの小説も面白そうです、というか既に面白いですこういう話大好きです!続き楽しみにしてます😌🙏🏻 (2022年11月12日 8時) (レス) @page5 id: 2bc7b134a4 (このIDを非表示/違反報告)
さんご(プロフ) - ふく。さん» ふく。さんコメントありがとうございます〜!💕そうなんです初の警察ものです!ぜひこれからの展開も楽しんで読んでくれたら嬉しいです😊 (2021年12月13日 20時) (レス) id: 964fb42fef (このIDを非表示/違反報告)
ふく。(プロフ) - さんごさんの新しい作品…待ってました!今回は警察ものなんですね!ヤクザの頭が清川…?これ聞いただけでドタイプの作品です!楽しみに待ってます! (2021年12月13日 7時) (レス) @page1 id: d54700e41e (このIDを非表示/違反報告)
さんご(プロフ) - いりやさん» 1コメありがとうございます!!❤️💕警察もの大好きなんですか!よかった〜!久々にrtさんもメインキャラにしてみました!(笑)頑張ります💪 (2021年12月13日 5時) (レス) id: 964fb42fef (このIDを非表示/違反報告)
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