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Aに俺が小さい時着ていた上着とマフラーを着させ、うちを出る
「あーさみー・・・」
何となく呟くと、小さなAの手が俺の手を強く握った
小さいのに、暖かい
「・・・あんがと」
『・・・』
何も喋らなくなってしまったA
顔もなんだか暗いようだ
眉を八の字にしている
「・・・ママ、きっと家にいるさ」
『・・・うん、』
「そしたら風呂入ってちゃんと髪乾かして風邪ひかねぇようにするんだぞ」
『うん』
「俺んちに来たこと、ママには秘密な」
『うん・・・』
薄くなった雪の層を踏みながら、歩を進める
Aは二つ返事だけしか話さない
コイツも、俺も
お互いに情が湧いてしまったのかもしれない
「また高校の帰りにパン屋寄るよ」
『何が食べたい？』
「クロワッサン食いてぇな」
『えへへ、Aに作れるかなぁ・・・』
1度足を止め、Aを見る
「え、A・・・お前が作ってんのか、パン」
『うん、そうだよ』
驚いた
その言葉以外の何物でもない
カレーパンにメロンパン、今日食べてみたが
そこらに売っていても違和感が無いものだった
もちろんそれ自体が商品であるから、当たり前のことなのだが
まさか、Aが作っているとは・・・
また、自然と足を進める
『おばあちゃんが教えてくれたの、昔』
「それにしても、よく作れたな・・・」
『パパがお店を開きたいって言ったから、Aたくさん練習し直したよ』
「パパ、か」
『そう、Aはあんまパパのこと知らないんだけどね
ママの大事な人だって言うから、Aの大事な人でもあるよ』
つまり
2人目、かそれ以降の父親ということになる
少なくとも、A自身の、1人目の父親でない事は間違いないだろう
複雑な家庭だな
『あ！ママ』
Aの事を見ながら歩いていると、ふと彼女がそう声を上げた
ママ、そう呼び指が刺されている先には
1人の女性がいた
怪訝そうな顔をしたが、俺と目が合った直後すぐににこやかに笑った
一般的にいえば、綺麗な人だろうか
母「どうも・・・貴方、どちら様？」
通称ママの一言目は
それだった。
「・・・1人で待ってる子を見たんで、一緒に散歩してたんです」
怒られるか、通報されるか・・・
そんな事を考え、寒さだけでなく別の意味で身震いしそうになった
が
母「そう、ありがとうございます」
彼女は、ふふっと小さく笑うだけだった
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さんご(プロフ) - すずなきさん» まず読んでいただきありがとうございます。妹さんのお名前にされてたんですね、、またいつでも読みに来てください (8月24日 19時) (
レス) id: b4a1483ffc (このIDを非表示/違反報告)
すずなき - 夢小説漁りに来ただけなのに最後で泣いてしまった....しかも、子供の名前、数年前になくなった妹の名前にしてたので、もうぼろぼろ泣いちゃって..今回は素敵な小説、ありがとうございました、また読ませて下さいね🤭 (5月23日 22時) (レス) @page50 id: 3087fe55b6 (このIDを非表示/違反報告)
さんご(プロフ) - 雪音(ﾕﾈ)さん» そう言っていただけて本当に嬉しいです😳💕この作品を見つけて、開いて読んでくださりありがとうございました！！ (2022年6月12日 13時) (レス) @page32 id: 435cdb899d (このIDを非表示/違反報告)
雪音(ﾕﾈ)(プロフ) - 占ツクでこんなに泣かされると思っておらず、自分でも驚いてます(笑)本当に素敵な作品です。ありがとうございます。 (2022年6月11日 13時) (レス) @page50 id: a8cb4580a1 (このIDを非表示/違反報告)
さんご(プロフ) - トマトまとさん» めっちゃちゃんと読んでいただけて本当に嬉しいです〜(；_；)普段あまり書かないタイプの小説なのですが楽しんでいただけたのでしたら幸いです😌❤️御愛読ありがとうございました！！ (2022年4月30日 19時) (レス) id: 435cdb899d (このIDを非表示/違反報告)
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