飼い主探してます。【キ ヨ】

母と女 ページ47

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私には幼い子がいた


それは、11年前の事だった




今生きていれば今年成人だった。


私は、本当に馬鹿な母親だった






大好きだったのに、


私が誰よりも娘を傷つけた






娘が幼稚園の頃はよく2人で笑いあった




私の旦那は医者で


娘がまだ1歳の時に海外の貧困者の病気を助けに行くと言って旅立った



この世から、旅立った



向こうの国に行く時に飛行機が転落したらしい。





だからずっと母子2人ですごしてきた


だけど、Aは幼稚園の送り迎えでよく友達のお父さんを羨ましそうに見ていた



今となっては私の思い過ごしだったかも、と思う。



私は娘に問いかけた



「お父さんが欲しい？」と



すると娘は少し考えたあと



『欲しい』と頷いた



と言っても相手が見つかっていたわけではなかった



でも私は若さからかまだ自信があった



キャバクラで働くようになった。



夜Aを家に置いて、必死で男客に色目を使った




働いたお金は自分の美容に、そしてこの美容でAのお父さんとなる人を見つけなきゃ




そうやって数ヶ月




考えられなくなってしまった




なんの為に私は今こうやって男と絡んでるのか。




でももっと綺麗にならなきゃ、


男の人に愛されなきゃ。




何のために？



分からない。




それからあの男に出会った




私の人生を狂わせたあの人に。




あの人は私のことをよく認めてくれた。


頑張ってるね、無理するな、と。




だからすぐ分かった




この人が運命の人だ。


って。




それから娘をその人に紹介した



そしたら彼は怒った



娘なんていらない、用無しだと。




捨てられたくなかったの。




何回も何回もお願いした



娘にも謝らせた




ほら、お父さんが欲しいんでしょ



この人にお父さんになってもらうには謝って許してもらわなきゃ




彼は娘を殴った


私は見て見ぬふりをした




娘は知らない男子高校生に拾われた



私が育てた恩を忘れたのかしら。そう思った




高校生の子はかっこよかった、優しかった


けれど私をおばさんと呼んだ




うざくて、私は彼に愛されることに一生懸命で。




いつの間にか娘は元旦那の所へと旅立った



男子高校生に愛されながら旅立った





私の何が悪かったのか、11年経った今ならわかる





「おいババア！ぼーっとしてんじゃねーぞ！」



「ごめんなさい」





工場では私より下の子達に蔑まれている



ふふ、あの時の美容費なんて意味なかったのね


あなたに使ってあげれば良かった




・・・今日は娘の命日


私の家の墓には入っていないけど、花くらいなら




あぁ私の娘


こんなママでごめんね



A、大好きよ



母と女.END

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