君がマスクを外す時。 ページ44
『うっしー…！』
外は雨が降っていた
けど、構わなかった
涙を流している私を誤魔化すには丁度良かったから
『うっしー、早く出て…』
私の耳元で鳴る、雨音とコール音
プツッ──
「…もしもし？お前生放送中じゃ、」
『お願い…、会いたい』
「おい、今外か？」
『うん…』
「雨降ってんだろ！？馬鹿自分の身体心配しろよ！」
5年前から変わらない
お父さんみたいに小言を言う癖
でも、
やっぱりそれは優しい言葉で
『大丈夫…！うっしーはマンションで待ってくれればいいから…！』
「どこまでもアホ野郎だな…今どこら辺だよ」
うっしーのスマホの向こうからも雨音が聞こえた
『二丁目の…交差点のとこ…』
「そこ曲がってある公園に来い」
『うんっ…！！』
私は走る足を早めた
自然とつらさなんてなかった
早く、早く彼に会いたくて
気がついたこの気持ちを伝えたかった
『ここかな…』
角を曲がり、目に入ったのは大きなタコの遊具がある公園だった
「…A」
電話の向こうから
そして
目の前からもその声が聞こえた
私はスっとスマホを持っていた腕を下ろす
『うっしー…』
雨に打たれてビシャビシャの髪
生放送でキャラの為に来たジャージ
ノーメイクマスクのニートみたいな格好をした私
こんな姿で来るべきじゃなかったか
そんな事はもう考えられない
「おい、濡れるだろこっちこい」
うっしーは焦った声色で、私にタオルをかぶせて1度帰ろうとしてくれた
『まって、』
「なんだ？」
『うっしー』
『好きです、私はうっしーの事が…好き』
その刹那
雨が当たらなくなった
雨音はやまないのに
自分がうっしーに抱きしめられていると気がつくまで、少しの時間がかかった
「諦めそうだった…」
「もう、キヨとレトルトに取られるかと思ってた」
『…私はうっしーが好きだよ』
「A」
『…なに？』
「俺も、お前のことが大好きだ
付き合ってください」
うっしーは、いつにも増して優しい笑顔だった
『はい…！』
うっしーは、私のマスクをスッと取る
激しい雨が降る中
彼は私に優しくキスをした
──君がマスクを外す時。 fin──
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さんご。(プロフ) - まりねさん» 読んでくださってありがとうございます！ゾワァっとしてもらうように書いたのでなんだか嬉しいです(？) (2020年11月21日 6時) (
レス) id: 964fb42fef (このIDを非表示/違反報告)
まりね(プロフ) - 読んでて最後にｿﾞﾜｧとしました笑 お話面白かったです！(*'ω') (2020年11月20日 7時) (レス) id: 1cea92ed0d (このIDを非表示/違反報告)
さんご。(プロフ) - みづさん» 嬉しいです！他作品もありますのでよかったら作者名のとこからどうz((殴。本当にここまで読んでくださってありがとうございました！ (2020年7月16日 19時) (レス) id: 964fb42fef (このIDを非表示/違反報告)
みづ(プロフ) - 完結おめでとうございます！ストーリーめちゃくちゃ好きでした、次の作品も楽しみにしてますね！ (2020年7月16日 16時) (レス) id: 378c3d5b14 (このIDを非表示/違反報告)
さんご。(プロフ) - ___mntks_さん» ありがとうございます！アフターストーリーも書き終わりました…！語彙力皆無ですが楽しんでいただけたら幸いです！ここまで読んでくれて本当にありがとうございました！！ (2020年7月16日 6時) (レス) id: 964fb42fef (このIDを非表示/違反報告)
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