鱗のつばさ (ページ29)

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「もっと簡単ならよかったんだけど、なっ！」

ぐるりと一回転させると、大きな花火が打ち上がって目を瞑った。

大釜の中には今まで入っていた靄と液体ではなく、部屋の明かりに反射する物体があった。

「わー！！あー！！できた！！」

「よかったですね」

「アズールありがとう！！これでレポート書けるよ！」

「レポートはあらかた終わらせてるんですか？」

「…………それは」

「はぁ……」

横に視線を逸らすと、露骨なため息をつかれる。

近くに置かれた椅子に腰掛け、ペンを取る。

実験場所、錬金術室。

実験内容、非金属から金属を生成する。

使用した物質、炭素、二枚貝……。

「感想が書けない！」

「急になにを言い出すかと思えば……」

「欄が埋まらない、難しかったです以外の感想がない」

横で本を読んでいたアズールは、青いしおりを挟んでこちらに向かい直る。

横髪を耳にかけるとするりと僕のポケットに入っていたメモ帳を抜き出した。

「こういうのは先生の機嫌を取ればいいんですよ。難しかっただけでは具体性に欠けます」

棒をもっとしっかり回す、教科書は浮かす、薬類は一緒に入れないと箇条書きであげていく。

それをまとめるのに時間はかからなかった。

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