鱗のつばさ (ページ21)

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錬金術のレポート自体は簡単なもので。

僕が参加していなかったときに作ったものを放課後誰かと作ってレポートにまとめてきなさいというものだった。

問題はその作るもので。

「なにを作るんですか？」

「あれだよ、金属を使わずに金属のアクセサリーを作りなさいってやつ」

「ああ、あの作ったものは誰か好きな人にあげてきなさいっていう」

「そうそう。先生もペアでやっていいよって言ってたからさあ。放課後の時間もらうし契約書書くよ」

横に座っている男が口約束があまり好きではないことはよく知っている。

ならばきちんと紙に書くのが道理というわけで。

ペンを一振りすると空中に出現した紙を、机の上をどけて無理矢理場所を作ってそこに置く。

「では契約内容を。君の希望通り錬金術をお手伝いしましょう、明日でいいですか？」

「もちろん！助かるよ」

「対価は……そうですね、では出来上がったアクセサリーはいただいても？」

「全然いいよお」

「あとはどうしましょうか……そうだ、今度の舞踏会に参加してくれますか？」

「あはは、個性溢れる誘い方だね花丸をあげよう」

さらさらと契約書にサインをする。

結局あまり自分に不利益な対価はない。

今度の舞踏会はどうせモストロ・ラウンジで出るときにゲスト役をやってほしいんだろう、それくらいなら朝飯前だ。

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