ティーンエージャー #川西 ページ9
幼馴染だからと言って、必ずしも深い仲であるとは言い切れない。
相性の如何は勿論だし、性格的な問題もある。離れたらそれだけで切れてしまう縁もある。
私には川西太一という幼馴染がいる。
仲は普通。学校はどちらも白鳥沢。部活は別。
ただし、お互いに興味はなし。
幼稚園、小学校、中学校と同じ道を歩んできたわけだが、彼と仲が良いと言えた試しがない。
時たま友達が「川西くんってかっこいいよね、仲良くなりたいから紹介して」と手を合わせる事もあったが、「別に私はアイツと仲良くないから」とバッサリ断っていた。
……いや、嘘だ。嘘を、ついた。
太一は私に興味はない。それは確定事項。けれど私は違う。昔から太一の事が好きだ。勿論、異性として。
今でこそ仲がいいなんて言えないけれど、幼稚園の頃、世界が閉鎖的であったあの時期は、仲が良かった。
その頃の話。恥ずかしい話だけれど、私達は約束したのだ。「結婚しよう」と。
そんなものは子供の戯言で、本気になんて勿論していない。太一もたぶん覚えていない。けれど、たぶんあの頃から私は彼が好きだった。
今はもう望みもないので諦めている。太一は彼女がいた事もあったし、私も私で気持ちを振り切る為に他の人と付き合ったこともある。
それでも振り切れなかったのは、今のこの彼氏のいない状態が証明してくれることだろう。
いつまで経っても、愚直に好意を寄せ続けるのだろうか。そんな未来さえ簡単に想像できてしまって、自嘲の笑みが溢れ出した。
︙
「なあ、俺と付き合ってくんない」
真顔でそう言ったのは、紛れもなく川西太一その人だ。
それは私がこの上なく望んだ言葉だ。それに偽りはない。
けれど。
「…理由は？」
「…は？」
「なんで付き合おうって言ったわけ」
「なに、嫌なの？」
「そんなことは問題じゃないの。私のことが好きだからそう言ってるの？ それとも彼女がほしいだけなの？」
うーん、と悩む素振りを見せた後、彼が放った言葉は。
「なんとなく？」
許し難いものだった。
好きだからこそ、きちんと正面切って向き合いたい。誠実でいたいし、誠実でいてほしい。
そう思うのは、おかしなことだろうか。
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志織(プロフ) - mokyunさん» コメントありがとうございます！松川くんのこのお話はいつか書きたいなーと思っていたのですが、せっかくなので短編集に載せました。お気に召して頂けたようで良かったです！他のキャラも色々書こうと思っていますので、ぜひ楽しんでいってください！ (2018年1月22日 21時) (
レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
mokyun(プロフ) - どのお話もステキですが、特に大人のまっつん。いいですね… 外堀から埋めていって、逃げられないね？どうする？っみたいな!? 他にどんな男子がでてくるのか楽しみです! (2018年1月22日 2時) (レス) id: e5a3b0aa31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：志織
| 作成日時：2018年1月14日 2時
