和洋折衷 #月島 ページ8
和菓子が好きだ。
こしあんが好きだ。
あんこの上品でしつこ過ぎない甘さは、人を魅了するには充分過ぎる程だと私は思っている。
特に練り切りは最高だ。色とりどり、形も様々、味を楽しみ目で見て楽しむ。日本の職人さんが技巧を凝らして生み出した芸術品だと言っても過言ではないだろう。
「いや、洋菓子だって同じデショ」
「うるさいうるさい! 月島は洋菓子派でも私は和菓子派なの! 和菓子の方が綺麗だし!」
「ハァ? 今の発言は聞き捨てならないんだけど。洋菓子の方が盛り付け最高じゃんバカなの」
一年四組、席が前後。甘い物が好き同士、うまくやっていけるかと思えばそんなこともなく。月島蛍、彼は私の敵であり、想い人である。
こんな風に毎日言い合うのが楽しくて、くだらないことだけど、彼と関わっている時間が取れるなら何でも良かった。
最初は背も高いし威圧的だし口も悪いし、結構苦手だった。しかしお互いお菓子好きということもあり、仲良くなるのにそこまで時間はかからなかった。
好きになったのは本当に偶然というか、タイミングというか。
たまたま。同じ時間、同じ場所で、スイーツを食べていた。私は和菓子、彼は洋菓子。いつもは冷めた態度しか取らないくせに、そのときはいつもより幸せそうな顔をしていた。凄く、きれいだと思った。
まあ、ギャップという奴だろう。それまで友達としか思ってこなかったはずなのに、いつの間にか彼の目に自分はどう映っているのだろうとか、こっちを見てほしいだとか、そんなことばかり考えるようになってしまった。
日の光をうけて、柔らかな月色の髪の毛がキラキラと輝いている。
それに見惚れていると、「何さ」といつもの仏頂面が私の鼻を摘んだ。
「!? あにすんのさ!」
「アンタがずっと僕の顔見てるからデショ。なに、惚れた?」
「そそ、そんなわけないでしょ!!」
慌てふためいて「トイレ!!」と席を立つ私にはわかるはずもない。
呆れたように柔らかい笑みを浮かべた月島が、「さっさと認めればいいのに」と呟いていたなんて。
▼ 待つ男 ✕ 素直じゃない女
ティーンエージャー #川西→←ジューンブライドに消えていく #赤葦
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志織(プロフ) - mokyunさん» コメントありがとうございます!松川くんのこのお話はいつか書きたいなーと思っていたのですが、せっかくなので短編集に載せました。お気に召して頂けたようで良かったです!他のキャラも色々書こうと思っていますので、ぜひ楽しんでいってください! (2018年1月22日 21時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
mokyun(プロフ) - どのお話もステキですが、特に大人のまっつん。いいですね… 外堀から埋めていって、逃げられないね?どうする?っみたいな!? 他にどんな男子がでてくるのか楽しみです! (2018年1月22日 2時) (レス) id: e5a3b0aa31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:志織 | 作成日時:2018年1月14日 2時