*組織との繋がりは? ページ9
――なんで、コードネームを知ってんだ……?
俺は『ベルモット』なんて一言も言っていない。ベルモット自身も用心深いので、コードネームをわざわざ告げたりしないだろう。……なら何故、彼女が知っている?
そこで頭に浮かんだのは『ニコラシカ』。これもまた、酒の銘柄だ。つまりニコラシカなる人物は組織の連中であり、そのニコラシカのお姫様が三浦さんだということだ。三浦さんはどっちかというと王子っぽいが。
まあそんなことはどうでもいい。つまり、三浦さんは間接的に組織と繋がりがあるのかもしれないのだ。
「それより三浦さん、ニコラシカって?」
そう問えば、三浦さんは困ったような表情を浮かべた。
「お酒のことだよ。確かブランデーにレモンと砂糖? を添えてたかな。あんまお酒詳しくないから合ってるかどうかわかんないけど」
喋るにつれてどんどんと音量が下がっていく。不安そうな顔は確かに整っているし(黙ってれば)絆されてやりたくなるけれど、もし彼女が組織の手先だったらと考えると、警戒しておいて損はないだろう。
事情聴取を受けている三浦さんを待つ間、灰原の携帯に電話をかける。何コールがして、『はい』と聞き慣れた声が鼓膜を震わせた。
「灰原、ちょっと聞きてーんだけど」
『なによ』
「組織についてなんだが、ニコラシカっつー構成員、知らねーか?」
『っ……組織絡みで何かあったのね。ええ、いたわ。私は会ったことないけれど』
「!! どんな奴だ!?」
『会ったことないんだから私が知るわけないでしょ。……知ってるのは、ニコラシカが女性ってことと、組織を抜けようとして殺されたってことだけ。それ以外はわからない』
「そうか……いや、サンキュー灰原。詳しくは後で!」
『は!? あっちょ――』
ピッ、と強引に通話を切り、近くのベンチに腰掛ける。灰原の証言により、ニコラシカが組織の人物だということは確実となった。あとは、三浦さん本人が組織の人間かどうか、そしてニコラシカとの関係性について調べなくてはならない。
ようやく事情聴取を終えたらしく、彼女は大きく伸びをしながら警察署から出てきた。
帰路を共にし、雑談を交えつつ揺さぶりをかけてみる。しかし三浦さんは気づいていないのか気づいていないふりをしているのか、いつもと同じ微笑を湛えていた。
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織叶(プロフ) - ナチュラルな感じのナルシストっぽさがすごく好きです…!更新が楽しみです!! (2021年1月27日 19時) (レス) id: bc2d105faa (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - みさん» コメントありがとうございます!正直、自分では全く書いたことのないタイプのキャラクターなので、お気に召して頂けたのならとても嬉しいです! (2020年4月1日 21時) (レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
み - 褒められて照れる主人公がすごく可愛いです!!めちゃくちゃ面白いです!!! (2020年3月30日 17時) (レス) id: 2992cbf307 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - さちさん» コメントありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです。予定も立て込んでいますので出来る範囲での更新となりますが、お付き合いいただけたら幸いです……! (2019年8月7日 16時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年8月6日 13時) (レス) id: 02606fd336 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:志織 | 作成日時:2019年6月17日 12時